「 前作に劣らぬ豪華絢爛尽くし、このクオリティの映画を年一ペースで作...」劇場版モノノ怪 第二章 火鼠 sugsyuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 前作に劣らぬ豪華絢爛尽くし、このクオリティの映画を年一ペースで作...

2025年3月14日
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鑑賞方法:映画館

 前作に劣らぬ豪華絢爛尽くし、このクオリティの映画を年一ペースで作っていること自体がまず偉業。「雨・落下・決別」を主題に、目くるめくメタファーに埋め尽くされた前作と打って変わって、ストーリーはシンプル。シリーズ発表時に予想した「大奥で繰り広げられる女の情念と権謀術数」というイメージに当てはまるのが、まさに本作である。権力に抑圧される女たち、という重い背景だが、薬売りに協力するかしましい女中たちや、門番のツンデレおじさんっぷりなどコメディ要素もあって、バランスが取れている。メインとなる2人の、対照的な女たちが、死地を経て、友情…とまではいかないが戦友めいた絆をはぐくむのは、前作のヒロイン2人とはまた違った趣で、良い(ギャルと委員長の歴史的和解、的な?)。テーマ上、前作よりも艶っぽいシーンは多いが、それ以上に薬売りの人外の魅力がフェティッシュなほど描かれていて感心する。欲を言えば次回最終作へのフックがもうちょっと欲しかったところ。描写を読み解く限りでは、国家の成り立ちに関わるような秘密と向き合うことになりそうだが…。

sugsyu