「第一章 唐傘と比べるとやや淡白かな。」劇場版モノノ怪 第二章 火鼠 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
第一章 唐傘と比べるとやや淡白かな。
「火鼠」は本来「かそ」と読む中国の空想生物。火山の中に住んでいる。火の鳥とだいたい同じものです。「竹取物語」で姫が求婚者にいろいろ贈り物を要求するなか、右大臣阿倍御主人(あべのみひと)への注文がこの火鼠の皮衣。白くて火に強い衣です。本来、中国まで取りに行かなきゃならないのを阿倍御主人は偽物で誤魔化そうとしてばれちゃうんだけど。だから、まあ「火鼠」といえば衣の話になるのかなと思ってたけど違いましたね。本作では「火鼠」は「ひねずみ」と読み、天子の子を懐妊したけど事情があって産むことが許されない女臈の情念が形どったもので、怨みを持つ相手を焼き尽くす物の怪として描かれている。
一作目「唐傘」のレビューにも書いたけど、大奥の空間を表現するにあたって、古今東西ありとあらゆる意匠、デザインを取り込んでいてその自由自在なイマジネーションが素晴らしい。私は大好きです。そこのとこは変わらないんだけど「火鼠」は「唐傘」に比べて話が分かりやすい。また薬売りをはじめとして、女官のアサや、御錠口番の坂下など前作からのなじみのメンバーが出ていることで取っつきやすくなっている。
そのために前作ほどの世界観の特殊性というか凄みがない感じがする。要は淡白なんですね。そもそも尺が前作より15分短いし。
次回作、蛇神に期待。
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