「いくつかの不満な面」オオムタアツシの青春 てつさんの映画レビュー(感想・評価)
いくつかの不満な面
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確かに『向田理髪店』『いのちスケッチ』と比べてみおとりする感は否めない。地域の祭りが取り上げられるのは、佐々部清監督作品の『大綱の恋』や『六月燈の三姉妹』を想起するところもあるが、それほど強く関連づけられるわけでもない。
主人公が最初に一緒に店をやるはずだった相棒が最後にまた顔を出してくれても良いのではないかと思った。菓子の修業をして、金融機関担当者には気に入られるけれど、女の子には気安くだめ出しをされ、その後、地元菓子店の味を研究するのは、後手後手にもみえた。女の子が最初にいじめに遭ったけれど、その後はどうだったのだろうかと不審に思った。格闘技を習得して撃退しようと思ったのだろうか。喧嘩に使うのはルール違反だから、試合でいじめっ子のボスを打ち負かすという設定があったら良かったかもしれない。若い男性が過去の前科を嫌がらせに使われるのは、本業の事務所と焼き鳥屋だったが、菓子屋でみつかったときにはそこまでわかっていなかったのだろうか。保護司が関与する局面とは切り離されていたのだろう。様々な分野での監修がなされていたが、更生面での監修もあったら良かった。陣内孝則氏が侠気と頼りなさを発揮する役柄を演じるのは、『すうぷ』にも似ていた。死ぬ場面があっさり過ぎた。
「オオムタアツシ」とは特定の人物名ではないことがわかった。女の子が取りもつ縁で、夕日がきれいな街でもあることが確認できた。シャッター街の運営も大変そうではあるけれども、新参者の女性から言われる前に、年長者から率先して言い出してほしいくらいであった。
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