「優しい気持ちになれる等身大の映画」オオムタアツシの青春 TOKさんの映画レビュー(感想・評価)
優しい気持ちになれる等身大の映画
ある映画レビューYoutuberの方が仰っていましたが、「緩い雰囲気につつまれたご当地映画の良作」という表現がなるほどなと感じました。同時に、大牟田が舞台の映画ではあるものの、メインキャストの3名は大牟田出身の役ではないということと、町の再生ではなくあくまで個人の再生に目を向けている点が、この映画を単純なご当地映画に留まらせないポイントになっていると思います。
凄くドラマチックな部分や激しいシーンがあるわけではありませんが、境遇の異なる一人ひとりが自身の過去や現実と向き合いながら、少しでも前に進もうと一生懸命に生きる姿が描かれおり、優しい気持ちになれる映画です。観ている方ご自身や周囲の方にも当てはまる部分があるかもしれません。
個人的には福山翔大さんの控えめながらも気持ちのこもった役柄と演技に心打たれましたし、陣内さんの独白のシーンも流石だなと思いました。筧さんも方言頑張りましたね。それぞれのキャラが立っており、また時折グッとくるセリフもあり、観ていて飽きなかったです。
後半は一気に展開が進みますので、ちょっとついていくのが大変でしたが、私はある程度割り切って観るタイプですのでそこまでは気になりませんでした。
他エリアの方は気づかないかもしれませんが、この映画では、大牟田弁、博多弁、北九弁などの福岡県内にある複数の方言が役柄に合わせて使い分けられています。製作陣の地域に対するリスペクトを感じました。
(ちなみに、商店街事業者組合の長老役のたかお鷹さんのセリフが、年配の方が話される「リアルな大牟田弁」でした。)
大牟田や九州に何かしら縁のある方は、言葉や景色に感じるところもあると思いますので、より楽しめるかと思います。
最後に、主題歌のメロディと歌詞が映画と心地よくリンクしていて、とても素晴らしかったです。