オオムタアツシの青春のレビュー・感想・評価
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ただのダジャレなタイトルかと思ったら
夏に上映した『蔵のある街』もそうだけど、成功というゴールが分かっているから安心して観てられる。
ご当地映画で店潰れるとかないもんね。
それぞれ悩みを抱えた人が出会って、疑似家族のような繋がりから前に進むという、定番っちゃ定番のストーリー。
日菜子ちゃんのお母さんの、"あたしも大変なんです”オーラがちょっと苦手で、亜美さんとのシーンでは圧VS圧のぶつかり合いに、観てるこっちが潰されそうだった。
スッキリした後は、2人とも優しい表情になって良かった。
静男さんの焼き鳥屋を認めるか否かの会議での店会の人たちが、分かりやすく悪役に。
常日頃から、やらかした政治家や芸能人たちの人生のやり直しを許さないのは、日本の良くないところだと思っている。
そこに、同じ新参者の亜美さんが切り込んだのは良い場面だった。
糖尿病でも食べられるお菓子を作るんじゃないんかい⁈とか、昔の悪友が半グレなのにあっさり引いたり、結局イジメはどうなった?など、設定が甘いなと感じる部分はあるけれど、全体的には良い話。
ご当地映画の醍醐味である、お国自慢コーナーが今作では、おおむた大蛇祭り。
迫力があって素晴らしい。
エンドクレジットでも協力のところには、"大牟田〇〇”という企業がずらり。
予告編の前にも大牟田市がCM打ったりしてて、地域全体で映画を応援しようってのが良いなぁ。
みんな色々な過去がある
パティシエの亜美(筧美和子)は友人と洋菓子店を開店するため福岡県大牟田市にやって来た。ある日、下校途中の少女・日菜子(奥野楓)が同級生にイジワルされて怪我をしたところに居あわせた亜美は、同じく偶然通りがかった青年・司(福山翔大)と初老の男性・静男(陣内孝則)とともに日菜子を病院へ連れていった。その後、亜美は共同経営する予定だった友人に、性格がキツく傲慢なため一緒に出来ないと見放され、資金不足となり途方に暮れてしまった。そこで、亜美はお店の内装を彼ら2人に手伝ってもらい開店することが出来た。しかし、最初は売れたのだが、その後は売れなくなり悩んでいた。そして、静男は元焼き鳥屋経営後、議員でパワハラで辞めた過去が、司は強盗傷害で刑務所に入ってた過去が有った。さてどうなる、という話。
亜美ってなかなかきつい性格だなぁ、と思って見てたら、やはり友人に逃げられ、母とも軋轢が有り、なるほど、そういう設定なのね、と思って観てた。
司への嫌がらせをするゲスな奴らは焼き鳥屋を壊された時警察に言えば良いのに、と思ったけど静男は司を庇ったのだろうが、黙っておくのが良かったのかなぁ。ちょっと疑問。
炭鉱の町って、いろんな所から人が集まってくるから、他人に寛容な人たちが多い、というのは、なるほど、と思った。亜美が大牟田を選んだ理由がそこだとは、ガッテン、と納得できた。
せっかくなら三池炭鉱跡地を巡って大牟田の名所案内などしてもよかったと思った。
題名のオオムタアツシって何、と思ってたら、日菜子が命名した静男の焼き鳥屋の店名で、大牟田+あ(亜美)+つ(司)+し(静男)なんだ。なるほどね。ただし、静男はあっさり死にすぎな気がした。司が駆けつけた時に息があったから助かると思ってたので残念だった。
いくつかの不満な面
確かに『向田理髪店』『いのちスケッチ』と比べてみおとりする感は否めない。地域の祭りが取り上げられるのは、佐々部清監督作品の『大綱の恋』や『六月燈の三姉妹』を想起するところもあるが、それほど強く関連づけられるわけでもない。
主人公が最初に一緒に店をやるはずだった相棒が最後にまた顔を出してくれても良いのではないかと思った。菓子の修業をして、金融機関担当者には気に入られるけれど、女の子には気安くだめ出しをされ、その後、地元菓子店の味を研究するのは、後手後手にもみえた。女の子が最初にいじめに遭ったけれど、その後はどうだったのだろうかと不審に思った。格闘技を習得して撃退しようと思ったのだろうか。喧嘩に使うのはルール違反だから、試合でいじめっ子のボスを打ち負かすという設定があったら良かったかもしれない。若い男性が過去の前科を嫌がらせに使われるのは、本業の事務所と焼き鳥屋だったが、菓子屋でみつかったときにはそこまでわかっていなかったのだろうか。保護司が関与する局面とは切り離されていたのだろう。様々な分野での監修がなされていたが、更生面での監修もあったら良かった。陣内孝則氏が侠気と頼りなさを発揮する役柄を演じるのは、『すうぷ』にも似ていた。死ぬ場面があっさり過ぎた。
「オオムタアツシ」とは特定の人物名ではないことがわかった。女の子が取りもつ縁で、夕日がきれいな街でもあることが確認できた。シャッター街の運営も大変そうではあるけれども、新参者の女性から言われる前に、年長者から率先して言い出してほしいくらいであった。
試食の詰め合わせみたい
2025年劇場鑑賞274本目。
エンドロール後映像無し。パンフレットはないけど公式ガイドブックがあるので減点はしませんが売り切れてて買えず、Amazonで購入。
四針縫う大ケガさせられるくらいのイジメを受けている糖尿病の子を病院に運んだ3人の再生物語。
主人公がパティシエなので糖尿病の子でもおいしく食べられるお菓子を作る伏線なんだろうな、と思っていたら1型なので注射打ったら普通に食べられるんだって!解決!
イジメはどうなったか分からないけど格闘技習い始めたので多分ボッコボコにやり返すのでしょう。描かれてないので分かんないけど!
その試合を観に行く約束をした人が喧嘩がめちゃくちゃ強い事が分かったので指導するんだろうなと思っていたらホントに観に行くだけなのかよ!
と、他にもネタバレになるのでこれくらいにしておきますがめちゃくちゃ設定てんこ盛りなのに全然活かされておらず、色んな料理があるけど試食くらいの量がちょっとずつ過ぎて全然満足できない仕上がりでした。
ネタバレ
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半グレに会いに行く前にシズオが電話してたから、議員時代の知り合いの組長とかに連絡したのかと思ったらそうでもないし(パティシエのところにはLINEのメッセージだったから違うし)、半グレが中途半端に港倒れてるって電話してきたけど、お前がその場で救急車呼んでたら助かってたかもな!
優しい気持ちになれる等身大の映画
ある映画レビューYoutuberの方が仰っていましたが、「緩い雰囲気につつまれたご当地映画の良作」という表現がなるほどなと感じました。同時に、大牟田が舞台の映画ではあるものの、メインキャストの3名は大牟田出身の役ではないということと、町の再生ではなくあくまで個人の再生に目を向けている点が、この映画を単純なご当地映画に留まらせないポイントになっていると思います。
凄くドラマチックな部分や激しいシーンがあるわけではありませんが、境遇の異なる一人ひとりが自身の過去や現実と向き合いながら、少しでも前に進もうと一生懸命に生きる姿が描かれおり、優しい気持ちになれる映画です。観ている方ご自身や周囲の方にも当てはまる部分があるかもしれません。
個人的には福山翔大さんの控えめながらも気持ちのこもった役柄と演技に心打たれましたし、陣内さんの独白のシーンも流石だなと思いました。筧さんも方言頑張りましたね。それぞれのキャラが立っており、また時折グッとくるセリフもあり、観ていて飽きなかったです。
後半は一気に展開が進みますので、ちょっとついていくのが大変でしたが、私はある程度割り切って観るタイプですのでそこまでは気になりませんでした。
他エリアの方は気づかないかもしれませんが、この映画では、大牟田弁、博多弁、北九弁などの福岡県内にある複数の方言が役柄に合わせて使い分けられています。製作陣の地域に対するリスペクトを感じました。
(ちなみに、商店街事業者組合の長老役のたかお鷹さんのセリフが、年配の方が話される「リアルな大牟田弁」でした。)
大牟田や九州に何かしら縁のある方は、言葉や景色に感じるところもあると思いますので、より楽しめるかと思います。
最後に、主題歌のメロディと歌詞が映画と心地よくリンクしていて、とても素晴らしかったです。
負けてからどう這い上がるか
■ 作品情報
かつて炭鉱の町として栄えた福岡県大牟田市を舞台にした人間ドラマ。人生につまずき、岐路に立たされた大人たちが、ある少女との出会いを経て再生していく姿を描く。監督は瀬木直貴。脚本は松本稔。主要キャストは筧美和子、福山翔大、林田麻里、陣内孝則、SHIGTORA、たかお鷹など。
■ ストーリー
念願の洋菓子店開店を目指し大牟田市にやってきたパティシエの五十嵐亜美が、共同経営者となる友人に見放され、途方に暮れる。そんな折、下校中に怪我をした小学生の古賀日菜子に遭遇し、偶然居合わせた青年・高杉司と車上生活を送る初老の男性・樋渡静男と共に日菜子を病院へ連れていく。この偶然の出会いをきっかけに、亜美は店の内装の手伝いを司と静男に依頼し、開店に向けて準備を進めるが、司と静男もそれぞれ大牟田へ来た隠された過去を抱えている。これらの大人たちが、病気を患いながらも前向きに生きる日菜子との交流を通じて、少しずつ絆を育み、前向きに成長していく姿を丁寧に描き出す。
■ 感想
人生につまずいた亜美、司、静男という三人の再生の物語を中心に据えており、偶然の出会いが互いに影響し合い、それぞれの人生を見つめ直していく姿が温かく描かれている点が印象的です。
正直なところ、全体的にはやや淡白な印象は否めません。中盤までは丁寧に物語が紡がれるものの、キャラクターの内面や抱える問題への掘り下げが浅く感じられます。そのため、終盤に一気に盛り上げようとする展開はそれなりに胸にこみ上げてくるものがあるものの、いま一歩、大きな感動に繋がらないのが惜しまれます。
また、三人の間を取り持つ役割の少女・日菜子には、母子家庭、糖尿病、格闘技、いじめといった多くの設定が与えられていましたが、それらが十分に活かされているように感じられないのも残念です。彼女の純粋な思いや生き方が大人たちの心を揺さぶったことが実感できるような描写が、もう少しあるとよかったです。
あと、焼き鳥屋がしれっと譲渡されて繁盛店となったような雰囲気を醸していましたが、せめて裏でこっそり手筈を整える静男のカットは欲しかったです。半グレたちも、その後はどうなったのでしょうか。司に静男のことを連絡するという謎の善行を見せるのですが、これを機に改心したのでしょうか。そんなはずはないと思うのですが…。
こんな感じで、全体的には良くも悪くもないといった印象ではありますが、大牟田市の地域振興には大いに寄与していると感じます。人生につまずいた人々が再び立ち上がる姿に、大牟田市そのものの再興を重ねているようにも受け取れます。であるならば、お祭りシーンだけでなく、もっと街の魅力を伝える描写があるとさらによかったのではないかと思います。
現在(いま)を生き抜く必死さが伝わってくる感動作
大牟田市を舞台にしていますが、ご当地ムービーではなさそうですね。世代が違う4人が織り成す感動作で、何度も目がうるんでいました。
背景に人物が浮き出ているように感じる箇所がありましたが、許容範囲です。
4人には病気や悩み、知られたくない過去があり、それを克服しようとする必死さが伝わってきました。日菜子役の奥野楓ちゃんが天使のような可愛さで、1型糖尿病を患っているだけでウルウルきました。
「失敗は成功のもと」を感じ、得るものがある力作です。
オオムネウスシな青春
ポスターを見たときは、陣内さんがオオムタアツシで老いらくの青春の話かと。笑
冒頭の怪我、事故ならいいけどいぢめっぽい言い方だし、命に関わるレベルだから知らせた方が…
しかしこれは以後一切触れられない。
序盤は亜美の洋菓子店開店を中心に進み、コミカルな会話も楽しい。
中盤からは男性ふたりの過去が見え始め、不穏な気配が、という流れ。
静男の元議員は映画としてはやや珍しいが、奥さんの病死でチープに振り戻ってやや残念。
司の方は少し厄介だけど、あの手の嫌がらせ程度なら動画撮って通報で済む気がする。
亜美の“地元の味”への話も、「個性を足す」と言いつつ何もなく、全体的にちょっと薄味。
日菜子の父についても、あれだけ?
最後、静男は入院してるだけで戻ってきたところで終わり、と思ってたので悪い意味で驚いた。
わざわざ教えてくれた半グレ君はビミョーに親切。
しかしあの段階から司が焼き鳥屋を切り盛りしてるのは、技能的にも権利的にも疑問。
糖尿病は意味ないし、格闘技も余計だったかな。
演技も悪くはないのだけど、特に突出したものまでは感じなかった。
陣内さんを佐賀出身にして博多弁を喋らせたのは謎。
日菜子役のコはかわいいし、子役に多くは求めないが、常に同じペースで話すのは気になった。
色々やったけど掘り下げが浅く、ご当地映画的な魅力も出てないので全方位に半端な印象。
雰囲気はよかったので、要素を絞って前半の空気で通してくれてたらなぁ。
人生一回敗れてからが醍醐味。
大牟田に知り合いがおり、自分も旅行で大牟田を3回訪問してるので、鑑賞してみた。
大牟田といえば、かつて三池炭鉱とか三井が開発して大変盛り上がっていたが、国が石炭から石油に転換したあおりを思いっきり食らって、今は残念ながら衰退しつつある街。
結論を言うと、まずまず面白かった。登場人物が一度負けてから立ち直ろうとするのと、大牟田の街自体が一度「負けて」から立ち直ろうとするのが、かかってるような気がした。
どうでもいいけど、1型糖尿病の女の子が血糖値269mg/ml出てるのに、インスリン打ってすぐ甘いスイーツをいっぱいいただくのはいかがなものか、という気がした。まだ10代なんだから、目や腎臓を大切にしたほうが、
と2型糖尿病でインスリン打ってる糖尿病性網膜症のアラカンオヤジが言ってみるw
2万円!?
福岡県大牟田市で洋菓子店を開業しようとする女性と、偶然知り合って協力することになった人たちの話。
同級生に転ばされてケガをしたJSを助け様と、主人公とその場にいた若い男と車に乗ったオッサンがいざ病院へ!となり始まって行くストーリー。
冒頭の内見から主人公の描き方に違和感をおぼえたけれど、共同経営をする予定の女性とのやり取りで、なる程そういう人ですか。
そこにJCの母親が絡んできたり、若い男の過去を匂わせたり…からのエピソードをみせていき、つまらなくはないけれど、どこかで見たことある様なを組み合わせたありがち祭りで、しかもあまり掘らずに表面を浚った様な感じで物足りず。
気軽にみられる明るい作品ということで、こんなもので良いのかなとも思ったけれど、自分には刺さらなかった。
もちろん大牟田出身ですが
現地、大牟田で映画鑑賞しました。今、月に一回、大牟田に行ってますが、本当に大牟田を出し切った映画だと思います。監督さんに感謝!あと、筧さん、陣内さんをはじめとした、俳優陣に感謝!今、大牟田駅近くで飲んで帰っているところです。
アツシは、熱し!人生の再生ストーリー
私しは、大牟田市在住の還暦過ぎた者です。この作品には、瀬木監督の大牟田愛がスクリーンから大洪水のように、滲み出ていて、自然と涙が、頰を伝いました。冒頭から、炭鉱で栄えいた古き良き時代の町並み、人々の映像には、いきなり、ガツンと、やられ、涙腺崩壊でした(泣)・・・・ひとりの糖尿病と闘ってる少女を通じて、偶然、知り合った、それぞれ過去に訳あり、男女3名の大人たちの、もがき苦しみながらも、必死な人生の再生ストーリーに、ラストは心の中で拍手、拍手でした。もちろん、人生は甘くないとばかりに、辛口なスパイスシーンもあり、リアリティーさもありました。しかし、鑑賞後には、じんわりと心が暖かくなり、劇場をでて、青空見上げた時に!いまでは、こんな錆びれて、過疎化が進んでるこの町でも、いまも変わらないものがあるとすれば?・・・・・それは下町ならではの、人情かなと?手前味噌ながら、ひとり再確認ができたことに、この作品に感謝しました。そう、人間は!いくつになっても本気だせば、やり直せるんだ!!!!と勇気も、もらいました。個人的には、もう数回ひとりで、鑑賞したいと思います(笑)
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