ブルータリストのレビュー・感想・評価
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アメリカンドリームの闇
本日の試写会『 #ブルータリスト』2回目。
100分+インターミッション+100分。
冒頭から身震いしました。
ホロコーストを生き延びたハンガリー系
ユダヤ人建築家の半生は困難の連続。
移民の生きづらさ、文化の違いなど
緻密に描写されていました。
悲しみを堪えたエイドリアン・ブロディの
繊細な演技力は圧巻。
脚本、演出、映像、全てにおいて感動的。
まさに芸術作品。
終盤にあるあのシーンについては
ラストのスピーチで深く納得です。
最後まで素晴らしい建築映画でした。
"アメリカン・ドリーム"の闇 = ありのままの美しさ(姿)で一つの時代(過去)を定義し、時を超える普遍性
逆さの自由の女神像 = ポスタービジュアルにも使われているこの印象的なショットこそが、本作のテーマを端的に象徴するエスタブリッシュショット。移民が最初に目撃する希望の象徴の失墜。つまり、難民や売れない芸術家にとってそれぞれの夢や希望 -- 何より生そのもの -- への【道】を切り拓くような一筋の【光】であるアメリカもパトロンも、その出会い自体が「救われた!これで一生安泰だ」というゴールなのではなく、あくまでそこから別の苦労や挫折、人間の暗部・闇に迫る新たなスタートに過ぎないということ。観てわかった、建築様式のブルータリズムだけでなく、文字通りの「残酷主義者」でもあるタイトル。美の核芯、過去の存在。
"目玉"から鱗!釘付けになるファーストシーンから圧倒されては、オープニングクレジットが流れるところまでで完璧にやられた。そしてそこから展開される、何層にもなっては、あるがままの姿が剥き出しになっていくようなさまに引き込まれてしまう…。どのキャラクターにも影があって、闇を抱えており、その複雑さには魅了されてしまうものがある。彼らが体現しては暴くアメリカンドリームの疑問や醜さ(虚栄・嘘偽り)。"Miller & sons"アメリカ人はファミリービジネスが大好きだ!"我々"外国人はアメリカの人々に歓迎されていない…!! 改名・改宗してアメリカ人になることをえらんだ"従兄弟と、自身の原点エルサレムに行くことを選ぶ姪。そのどちらでもない(そして恐らくこれが一番多数派では?)主人公たち。その時代を生き残った生き証人であり、アーティスト = 表現者として語り継ぐこと。
怪我した鼻と車や列車が走ってゆく道。『戦場のピアニスト』エイドリアン・ブロディがまたもやホロコーストを生き延びたサバイバーを演じ、『博士と彼女のセオリー』フェリシティ・ジョーンズがまたもやそんな主人公に寄り添う妻役を演じた本作は、素晴らしい演技だけでなくフィルム撮影、音楽(サントラ最高すぎる!)、衣装、そして光を(時に意図的に窮屈かつ居心地悪くも)心ゆくまで堪能でき、本編尺は長いけどずっと観ていられるような映画としての強度・力強さには疑う余地がない。作中30年もの時が流れ主人公の半生を描き、大河ドラマと形容するに値する歴史巨編にふさわしい裏方スタッフの働きの充実っぷり(ex.『アラビアのロレンス』『ラスト・エンペラー』)!!
また、近年インディペンデント映画や中小規模な作品を中心に活躍するガイ・ピアースが、初登場シーンから強烈なインパクトを残す。キレやすい支配者(上流・特権)階級に、その一因にもなっていそうでありながら同時に母親思いな(屈折した)一面にもつながる生い立ちバックグラウンド。かたや図書室改装の1000ドル、かたや母を捨てた祖父母への手切れ金の1000ドルという同じ額の重さの違いと、そして政治的な力も働いた結果85万ドルもの巨額の予算をかけて建設される母の名前を冠したコミュニティセンター。夢を叶える = 思いを成し遂げるのに時間がかかる芸術家アーティストとパトロンの歪んだ・捻れた関係性(ドラッグ、性 etc.)など、鉄鋼のように社会の根幹から化けの皮を剥ぐ。若干36歳のブラディ・コーベット監督がここまで大胆に挑戦的・野心的かつ実験的な大作を生み出した意義。
勝手に関連作品『アンドレイ・ルブリョフ』『サウルの息子』『アラビアのロレンス』『ラスト・エンペラー』『オッペンハイマー』『戦場のピアニスト』『マエストロ』
P.S. 主人公が妻を想ってか性的に不能なのか判断しかねたけど、やはりそういうことなのだろうか?
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ウェス・アンダーソン組からジャンル映画まで信頼に足るメソッド俳優エイドリアン・ブロディが名作『戦場のピアニスト』以来、再びホロコーストから生き延びた人物を演じる注目の本作はぜひとも観たい作品。また、同じく伝記映画『博士と彼女のセオリー』でも妻役を演じ『ビリーブ』では女性解放と性差別撤廃に闘っていたフェリシティ・ジョーンズに、『ハート・ロッカー』など大作映画以外を主戦場に独自のキャリアを築いてきたガイ・ピアースと共演も気になゆ。最初は文字通りの残忍主義者ということかと思ったくらい建築のことは詳しくないけど、ブルータリズム建築という興味を惹かれるタイトル。弱冠36歳の脚本監督が放つ本作は、尺の長さ含め例えば現代の『アンドレイ・ルブリョフ』になるのではないかと期待。ゴールデン・グローブ賞より前から観たくてClipしていた本作、特報を見ていても引き込まれた。今年の『オッペンハイマー』になるか?
緊張感あって長さは感じなかった
前半、後半それぞれ100分でインターミッションが15分
序盤はフィルム写真のようなショットに叙情的な音楽、エイドリアン・ブロディの豊かな表情で心を掴まれた
後半はフェリシティ・ジョーンズが熱演
全体的に緊張感ある展開で長さは感じなかったし、もうちょっと先も観たかった
芸術家の美への執念が感じられた
欲をいえば最後の音楽が・・・
表現するのが難しい感情が湧き上がった
覚悟してご覧ください
アカデミー賞候補の作品なのに、バンクーバーで一軒しか上映してないのはなんでだろうと思って上映時間をチェックしたら昼の回を逃して夕方6時45分…。次から7時の回一回だけだから、観ておくかと思ったら…。
えー、上映時間3時間半!予告、インターミッションを入れたら終わったのが10時40分、家に着いたのが11時半www
正直、そこまで好みの作品でもなく、そのシーン要る?て思う冗長な展開だし、途中キレ散らかす主人公にもそこまで思い入れが持てず…。作品賞候補の割に、これも18禁かぁ。エロシーンがない方がスッキリ見れた気がするのですが。
海外に住むと、イヤでも移民の心境に敏感になるので、ユダヤ人としての苦悩も描かれてましたが、全体的には誇り高き、成功した建築家として映ったので、そこまで思いが深まらないまま、あっさり終わってしまいました。
英語で苦労してる私とは違って、古くはスピルバーグ監督やマイケルブルームバーグ、若手ではマークザッカーバーグなど、アメリカ移民で最も成功しているのはユダヤ人だという事実を鑑みると、観る前からネタバレ感が拭えずで。
ちなみにブルータリズム建築とは、「文化的要素が低く、無骨な意匠を建物の外観に多用した建築様式で、建築資材の質感が強調され、塗装や化粧板は使わず、荒々しさを残した打ちっぱなしコンクリートなどを用いた彫塑的な表現を特徴とする」と、Wikipediaにありました。正直、寒々しい建物だなぁと思ってしまいましたが、日本でもバブルの時にコンクリート打ちっぱなしのマンションがはやりませんでしたっけ?住み心地はどうだったんでしょうwww
IMDb の評価は8.1/10、評論家のメタスコアは89/100と絶賛されていて、おそらくアカデミー作品賞あたり取りそうです。別の候補になっている「アノーラ」よりはマシかな…という程度で、正直「オッペンハイマー」のような壮大さは感じられなかったです。ただ、カナダの観客はちょいちょい笑いが起きましたw
19日日曜日のノミネート発表を、楽しみに待ちたいと思います。
反アメリカン・ドリーム
ホロコーストから逃れ、アメリカで新生活を始めようとするハンガリー系ユダヤ⼈建築家のラースロー・トートの半生を、3時間35分というランニングタイム(15分のインターミッション含む)で描く。
無機質なコンクリートやレンガを剝き出しにした構造様式のブルータリズム建築。日本だと国立代々木競技場が有名だが、戦後間もないアメリカでは異質に見えたのだろうか。母国でブルータリズム建築家として名を馳せたラースローの設計はアメリカでは受け入れられず、それは彼がユダヤ人であるという事とイコールにされる。ユダヤ人は人類史において常に追いやられてきた。そんな彼の才能に目を付け、礼拝堂建築を依頼する実業家ハリソン。ユダヤ人に礼拝堂を作らせるという、まさにタイクーンな人物だが、実は彼こそがアメリカン・ドリームの体現者なのかもしれない。
インターミッションを経て後半に登場するラースローの妻エルジェーベト。10年近く離ればなれになっていた夫婦が再会し、普通なら歓喜に満ちあふれるはず、なのに…ここでも自由の国アメリカは受け入れてくれないのか。
本作が興味深いのは、物語構成が「序曲~第1章」「インターミッション」「第2章~エピローグ」と、創成期のハリウッド映画の方式に則っている点。創成期のハリウッド関係者は移民出身者が多く、それこそユダヤ人が多かったとされる。そんなアメリカン・ドリームを掴むのに最適な映画という華やかなコンテンツで、反アメリカン・ドリームを描いているのは意図したのだろうか。
とにかく久々に大スクリーンで重厚かつ壮大なドラマを観た気分。夫婦を演じたエイドリアン・ブロディとフェリシティ・ジョーンズはオスカーにノミネートされてもよさそう。
妻が怖すぎる
まず長い。休憩を挟んでの3時間半。どこかもう少し削れなかった?
前半では新天地での苦労から努力が報われて、やっと明るい光が見えてきた。そんな希望を感じていられる。
しかし休憩後の妻がやってきてからの地獄。あれで勃つのってむしろすごくないかしら。常人ならEDになってもおかしくない妻の怖さなんだけど。
それでも自身の考え、才能を全て認めて受け入れる存在の妻は彼にとっては唯一無二なのか。共依存とは違うんだろうか?とにかく姪も含めてクセが強すぎて、成金一家がとんでもなくいい人達に見えてきちゃうんだから、観ててちょっと疲れる。
再婚しなかったのはそういうことかと後に判明するものの、そこに至るまでの主人公達が好感を抱けないので、同情する度合いも低め。もちろんだからといってあんな被害を受けていいってことではないけれど。
教会のプレゼン場面が個人的にはピークだった。人は暗い中に差し込む光に神を見る。光があんな効果を見せるのなら、訪れる者はみな神に出会えたような錯覚をおぼえるだろう。そう思わせるプレゼンでじんときた。
イヤでもさすらう運命にされてしまってる民族の彼らこそ神を求めてやまないんだろう。
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