「われわれは無だ 無にも満たない」ブルータリスト ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
われわれは無だ 無にも満たない
大事なのは到達地ではない
旅路なのだ
最後のテロップで流れる言葉。
だが、この「旅路」という言葉があまりにも重い。
ホロコーストを生きながらえた、ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トート。
彼にとっては、このアメリカ文化、アメリカ人気質、偏見・差別への抵抗の「旅路」。
陰謀論はびこるアメリカの裏切りと、味合わせられる屈辱。
淀んだ映像は、時に観るに堪えない感情で充たされる。
ホロコーストを逃れた自分とホロコーストで迫害を受けた妻の再会。
それは、ホロコーストに蹂躙された二人の運命の第二章だった。
トートは絶叫する。「われわれは無だ。無にも満たない」と
収容所を連想しながら、天井には光が。彼の旅路の果てにふさわしいモニュメント。
そこに、ホロコーストを超えるために、一生を捧げた建築家の強い執念を感じた。
2025/9/25 11:43
閲覧数 0
コメントする