劇場公開日 2025年2月21日

「全編に流れる薄明るい映像、彼の半生、彼の作品、タイトル、エンドロール・・・ 一貫したデザインが美しくも冷たい」ブルータリスト ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5全編に流れる薄明るい映像、彼の半生、彼の作品、タイトル、エンドロール・・・ 一貫したデザインが美しくも冷たい

2025年2月26日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

第二次世界大戦後のアメリカを舞台に、ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トートの30年にわたる数奇な運命を描く。
来場者特典として配られたリーフレットから実在の人物かと思いきや架空の存在だったラースロー・トートは、同様の運命をたどったであろう人々の象徴として創造される。

15分のインターミッションを挟んだ前半・後半ともに100分という構成もまた建築の対称物のようだ。
さらにこの長さも、ラースローの半生を感じさせるために必要だった十分な長さである様に感じる。
彼がデザインしたとする家具から建造物、スタイリッシュなタイトルやエンドロールのタイポ・グラフィ、逆さまな自由の女神までもが彼の作品の美しさを表して、映画で描かれる、歓びが少なく常に苦悩に満ちて冷たい半生もまた彼の作品を思わせる。
統一された印象が薄明るく美しい。

ITOYA