劇場公開日 2025年1月31日

「ただただ美しい」ザ・ルーム・ネクスト・ドア ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ただただ美しい

2025年2月11日
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鑑賞方法:映画館

知的

萌える

アドモドバルの作品はたくさん見てきたが、僕にとってこの作品は間違いなく最高傑作である。
画面一つ一つがまるで絵画のよう。耽美主義者アドモドバルの面目躍如というところ。家具や家財道具の色遣いから配置、構図まで丹念に配慮した映像。美しい画面にくきづけの2時間。
生きることと死ぬことについて語り合う二人。ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーア、まさに名女優の二人芝居である。一つ一つの言葉をすべて聞き逃すことなく映画を観ることは難しい(もう一度観てみよう)。死生感は人それぞれ。しかし自らの尊厳を保ちつつ生き、そして死を迎えたいという考えに異論はない。尊厳とは何かという問いに対する自分なりの答えが見つかれば生き方、死に方に対する答えも自ずと決まるだろう。
エドワード・ホッパーの絵画から抜け出たような無機質の美しさを湛えたスウィントン、病におかされ痩せた彼女が綺麗に化粧をし自らの身体に命を吹き込み、そして静かに最期の時を迎える。その神々しさにはただただ息を呑むばかりだ。

ゆみあり