劇場公開日 2024年10月18日

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「映画の邦題、ネガティブ過ぎないか?!」自分の道 欧州ジャズのゆくえ TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5映画の邦題、ネガティブ過ぎないか?!

2024年12月11日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

 作品序盤、ナレーションで「ジャズ音楽はアメリカからの世界への贈り物」としながらも、すかさず「ジャズのルーツは欧州」とも。矛盾しているように聞こえても、実は正論。

 単純に黒人音楽と思われがちなジャズだが、少なくとも純粋な黒人音楽ではない。
 アフリカ系の独特のリズム感と、同じくマイノリティだったユダヤ系やイタリア系のクラッシックの素養とがフランス文化を色濃く遺すアメリカ中部で融合した成果がジャズ。
 先日見たばかりの『Back to Black エイミーのすべて』でジャズへの認識に違和感があったので、ちょっと強調したくなる。

 ユーロジャズにとってフリージャズの登場がアメリカの模倣という呪縛からの解放に繋がったという認識は今更ながら新鮮で興味深い。

 映像ではなかなかお目に掛かれないB・パウエルら巨人の演奏が見られたのは眼福だし、映画出演ではヨタヨタしていたD・ゴードンの矍鑠たる佇まいがカッコイイ。

 人名の発音にこだわりがあるのか、一部に一般とは異なる字幕表記がみられたが、そんなことより物故者はその旨を表示して欲しかった。
 観賞後にココ・シューマンさんについて調べたら、五年以上も前に他界。彼の苦難の人生がジャズの欧州での位置づけを物語っているようにさえ思える。合掌。

TRINITY:The Righthanded Devil