「カンフーコメディというより修道士コメディ」エストニアの聖なるカンフーマスター どすこいたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
カンフーコメディというより修道士コメディ
IMDbに「合わない人には合わないが、好きな人は100回観るだろう」という強烈なキャッチコピーをつけられた、「ノベンバー」のライナル・サルネット監督の青春コメディ。私は割と合う側の方で、また観たいと思えるくらいには楽しめました。流石に100回は無い(笑)
予告を観る限りでは、エンタメに振り切ったコメディかと思っていましたが、少し違いました。前半こそテンポの良い、まさにブラック・サバス✕カンフーのシュールなコメディなのですが、中盤以降、宗教観やら愛についてやら始まってカオスな展開に。コメディ演出も抑え気味になり、人間臭い雰囲気が漂います。多分、このあたりが賛否分かれるところなのかと。終盤はなんだか感動的。ちょっとウルッときましたよ。
カンフーコメディというより修道士コメディとして観たほうが良さそうですね。「謙虚、謙遜」とか「悪魔の誘惑」とか、キリスト教絡みのストーリー展開になっているので。爆笑ネタはありませんが、小ネタでクスクス笑わせてくる感じです。
音楽については、ひたすらブラック・サバスが轟音を響かせております。加えてグレゴリオ聖歌(多分。よくわからん)なんかも流れてなかなか良い雰囲気。この2つの音楽の対比は全編通してのテーマのメタファーだったのかなと思うと感慨深いです。ブラック・サバスというバンドの背景を少しでも知っているとより楽しめるかも。
前半のコメディ全開!からの少し落ち着いた雰囲気の展開には驚かされましたが、なんやかんやでみんなハッピーです。これでいいのだ。
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