「女子集団のプロトコルを全肯定」青春ゲシュタルト崩壊 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
女子集団のプロトコルを全肯定
日本の女の人は小学校高学年ぐらいから高校出るくらいまで(人によってはその後もずっと)暗黙の行動様式みたいなのを叩き込まれるよね。
その暗黙の諸々にがんじがらめにされるがために、本当の自分が分からなくなる事象を「青年期失顔症」として表したのが面白いね。
青年期失顔症を発症してしまった主人公が、どうにかしてそれを克服しようというのがメインストーリーなの。
主人公はどうしようもなく困ってしまって、それを救うのはやっぱりヒーローだね。クラスメイトの金髪のイケメン。
イケメンが保健室の先生の知り合いで、同じく失顔症になやむ後輩もいて、みんなで少しずつ進んでいく。
光が見えそうで、良かったというところで、終わるの。
主人公が所属するバスケ部が悪役っぽく描かれるんだけど、ここは、少し引っ掛かりがあったな。
バスケ部顧問が「さあ、みんな、言いたいことを言い合え」ってやるんだけど、すると保健室の先生がやってきて「あなたにはガッカリです」と顧問をボコボコにして帰るんだよね。
「顧問わかってねえな」「これだから熱血かぶれのバカ教師は……」って感じになってるの。
さて、言いたいことを言い合えたら問題は解決しそうだけど、それは暗黙の行動様式では許されないよね。だから大変なんじゃんというところだけど。
でもその暗黙の行動様式が素晴らしいもので、「言いたいことを言い合え」ってのは駄目なことなのかなってのは気になった。
「そんなこと分かってるよ。分かってるけど……」ということで「そうだよね」と寄り添う作品になってました。
主人公が決断する「バスケを好きでいたいから、部を辞めます」もすごいね。
「女バスのアホどもざまあみろ」という感じだけど、これ言われた方はキツイよ。
顧問は泣くね。さすがに、そんなこと言わせたくてやってたわけじゃない。
しかし「わかってない」し「熱血かぶれのバカ教師」だから、こう言われちゃうの。
「言いたいことを言い合え」なんて正論言ったら駄目ってことか。そう思うと恐ろしいなこの作品世界。
役者さんは新井美羽が良かったよ。
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