劇場公開日 2025年3月14日

「ニコラス・ケイジの怪演が救い」ロングレッグス kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ニコラス・ケイジの怪演が救い

2025年3月14日
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鑑賞方法:映画館

連続殺人鬼が登場するサスペンスはなんだかんだで楽しみにしてしまう。「羊たちの沈黙」とか「ゾディアック」とか「セブン」とか。本作は殺人現場に置かれた謎の記号とかコンビを組んでいた同僚刑事が犯人らしき家を訪ねるシーンとか、期待感が高まる序盤。
早めに正体がわかるロングレッグスを演じたニコラス・ケイジは面白さと恐ろしさの境目を行ったり来たりする絶妙なさじ加減。彼は怪演俳優として絶対的な立ち位置を確立した感がする。あの演技はすごかった。
でも、なんか不穏な空気を感じる。事件の内容的な不穏さもあるが、そうではない。わけのわからなさという意味での不穏な空気だ。案の定、変な方向に話が進んでいく。キリスト教がベースにある欧米社会ではこの手の恐怖心が受け入れられるのだろう。いや、日本で生きてきた自分でもある程度は怖かった。それくらいに後半はインパクトがある。でも、事件の真相を解明するのが最終的に捜査や推理じゃないことが引っかかる。あの暗号もなぜ解読できたのかがハッキリしない。個人的にここは楽しみにしていたのに!ミステリー的な部分を期待していたのに、個人的な好みと決定的にズレていることが問題だった。話がわからないわけではない。辛うじてだが理解はできたはず。でも響かない。宗教の違いから生じる感覚のズレなのかなとも思う。それか映画の宣伝の問題。サスペンスとしての宣伝だったと思うが、この内容ではホラーに近い。配給会社の宣伝担当もどの方向で宣伝していくか悩んだのだろう。結果として明らかに失敗だった気がしてならない。

kenshuchu