野生の島のロズのレビュー・感想・評価
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親に想いを伝えたくなる
ロボットと親と鳥の子どもという奇妙な組み合わせの親子関係であるが、ストーリーが進むにつれてその違和感は全くなくなり、親子の絆を強く感じさせられた。
親が子供に抱く、不安や後悔、子どもが親に抱くそれを上手く表現されており。自身の親についてついつい考えてしまう作品であった。
また近未来の設定は人による環境破壊が原因と感じるような海面上昇や、ロボットに頼らざるを得ない人間、自らの行いによって不自由な暮らしをしている部分も印象的で作り手のもうひとつのメッセージを感じた。
世の母親の奮闘を思い号泣。綾瀬はるかの声もよい
泣いた。そして映画館でるのがこんなに清々しいこと久しぶり。ほぼ時間にあいそうなのがこれしかなく、しかも始まって綾瀬はるかっぽい声と鈴木福っぽい声がしてヤベ日本語版かと思いながら、逆にどっぷり浸かってこの野生の島のロボットの子育て奮闘記に涙するハメに。
こういう原作があるのね。エンドロールで英語版はルピタニョンゴだと知る。それもいいかもだけど、綾瀬はるかはぴったり。もともと性別を超える感じのところがありながら母性に目覚める感がぴったり。それゆえにボロボロになりながら滅私の心で我が子を飛ばそうとしたり、遠くから我が子が仲間とうまくやれるだろうかとのぞいたりを観ていると、もう自分が散々迷惑かけた母親を思い出したりしておいおい泣きそうな感じになるエモーション。
無事島を飛び立ってからの寂寥感ったら半端なく、この後どんな物語が待ってるかと思えば、ほぼ民族超えてとりあえず今は仲良くしようや、みたいなメッセージでこれも泣けた。ここから我が息子が戻って来てから散々チラつかせてきた自己回収ボタンを押してからの騒動もあるが、この辺りがもう少し単純に親子まとめでもよかったような気もするが、とにかく観終わって清々しい思いでいっぱい。こういうのを子供に見せながら親は涙したりするのだろうな。いい時間だったな。
ロボットの親と孤独なヒナの心の物語
ユニバーサルダイナミクス社製のAIロボット「ロッザム7134」
彼女は事故によって漂着した無人島で起動し自らに任務を与えるはずの人間を探し回るが、目にするのはロボットを見て逃げ惑う野生動物ばかり。そんな中偶然にもガンの卵を発見し、その卵が孵化してロッザムを親と認識してしまい――
ドリームワークスがピーター・ブラウンの児童文学『野生のロボット』(2016年)をアニメーション映画化。
人工知能のAIロボットと野生動物溢れる大自然、という相容れないものの関係性が徐々に変化していく過程がおもしろい。
そしてロズはガンのヒナと触れ合い、ヒナの面倒を見る内に自らに起こる予期しない変化に気づく。
子育て、という親にとって一番難解な課題をプログラムでしか動かないAIロボットが懸命に対処し、またロボットの親を持つ変わったヒナと周囲から奇異の目で見られるキラリの繊細で複雑な心理をよく描いている。
小さなお子さんと我が子を懸命に育てる親御さんに特に見て欲しい素晴らしい作品です。
(もちろんそれ以外の方の胸にも響く普遍的な良作です)
機械のピュアさ
「機械」というと、融通が利かないとか冷たいとかそういうイメージでしょうか。でも本来、機械というのは人間がある目的のために、その目的の遂行のためだけに、雑念とかそういうのがなく動けるよう、ある意味純粋さを託したものだと思うんです。
ロズは与えられた仕事をこなす、そのためだけに動いていて、その純粋さに心を打たれるんだと思います。つまづきながらも困難を克服していく姿には、同情などではなく、畏怖や憧憬をもって感動してしまいます。
日ごろから人間は機械に学ぶところが多いと思ってます。SFもので架空の存在ではありますが、ロズを見習おうと思います。
映画としてはとにかく絵がキレイ!
おおざっぱな設定やキャラクター性はハリウッドらしい感じでしょうか。
う〜ん、イマイチ泣けない
自然の厳しさを伝えたいのか、動物達が食べられたり死んだりする描写があり、小さな子供にはショックかもしれません。PG12でもいいかも。
その割にはロズの周りの動物は死なずに、ご都合主義な展開が最後まで続きます。
ロズ自身の描写が不足しているため、観客が脳内補完しないと心情の変化について理解しにくい面があり、AIや機械の知識が薄い小学生には少し難しい内容かと思いました。
中途半端にロズに人間性を持たせるくらいなら、ベイマックスのようにコンピュータとして最後まで振る舞いながら無償の愛を表現した方がよほど良かったと思います。
泣けるかと思ったら全然泣けませんでした。
同じ系統のベイマックスの方が余程泣けます。
手塚治虫も苦労した食べる食べられる描写の動物漫画パラドックスはこのアニメでも解決できていませんでした。
他の動物達との交流や島の動物コミニュティを描くと、パラドックスにぶち当たるので、ロズは鳥だけと交流が出来る設定にして、他の動物達は全て敵として描いた方が物語の流れがスッキリしたのではないかと感じました。
ポリコレ的なみんな仲良く生活しましょう描写はとても嘘臭く感じます。
そしてこの映画冒頭で弱肉強食の殺伐とした殺し合いを描いた後に、食について解決策の提示なくしてお花畑のポリコレを持ち出されても説得力や納得感はあまりないです。
映像はとても綺麗です。
声優にタレントを使うのは本当にやめてほしいです。
あとエンドロールは最後まで観ましょう。
エンドロールが流れると、競争でもしてるかのように出ていく方が必ずいるのですが、トイレでも我慢してるのでしょうか。
この映画でもオマケ動画があるので最後まで観る事をお勧めします。
パフォーマンス10
期待どおりの魅力がぎっしり詰まったエンタメ・アニメに大満足でした。色々な要素が沢山あって詳しく考察しようと思ったらそこそこ時間がかかるので、感じたままに3つくらい書いてみます。まずは、映像の美しさとテンポのよさですね。CGによるリアリティの追求より印象派の絵画のような表現を選択したとプロダクション・ノートにありましたが、まさにそこが実写ではないアニメの可能性であることを再認識しました。島の風景や主役でもあるロズ(ROZZUM 7134)の造形は宮崎駿作品からもインスピレーションを受けたとありましたが、あらゆるシーンが絵ハガキのように美しく、温もりが感じられました。次は、ロボットが心を持つのかという今日的なテーマへのアプローチがとても興味深いところでした。AIロボット同士の対話を見たことがありますが、それぞれが学習してきた経験値の違いによるものかわかりませんが、保守とリベラルのような意見の対立がみられ、明らかに感情的になっているように見えて驚きました。それを心と呼ぶのか、そもそも人間の心でさえ、単なる脳内における物質の化学反応であって、AIロボットとの本質的違いはないのかもしれない、という未知の分野が巧く物語にはまっていて感動的でした。3つ目は、物語に秘められたメッセージの部分です。シンボリックなあるシーンでノアの箱舟を想起しましたが、「親切こそが生き抜く力になる」というような台詞もあり、無秩序的に対立する世界情勢への製作者たちの祈りのような思いに共感しました。他にも魅力は尽きませんが、ドリームワークス・アニメーション30周年に相応しい名作だと思いました。
動物、擬人化しない方が…
よくあるロボットが愛に目覚める話。
●動物を擬人化するのはアメリカのアニメのお家柄なんだろうが、それじゃあロボットと野生の動物が疎通する意味がないんじゃないか?視点が人間の愛に目覚めるのと変わらない。
野生と疎通することで本能としてロボットが愛に目覚めるのなら、新鮮なテーマになったかも。
●最後にバトルする意味あるかな?人と自然の対決がテーマじゃないから無理くり見せ場を作ったようにしか見えない。
人間世界から迎えが来て、帰らないといけないという心の葛藤だけで十分だし、逆にそこを掘り下げた方がテーマを深く描ける気がする。
●世界観が回収できてない。たぶん人間社会も一度滅んだのかな?だから施設で食物を生産してるだろう。人類も結構過酷な環境を生きてるとしたら、便利ロボットの存在って何?ロズの経験データを是が非でも最優先で持ち帰らないといけない理由は何?
原作読んでないからわからないけど、回収できてないバックストーリーがあるような?
油絵調の絵はきれいで良かった。
なんかラピュタのロボット兵っぽいな。。。
とか舐めててすいませんでした🥺
アニメとして滅茶苦茶面白いし画面綺麗だし、陳腐な表現になってしまいますがいい話です
予告とかで気になったら絶対行って損はないと思います
ロズと島の動物の関係構築の様子もグッときますが
チャッカリが物語の結構早い段階でキラリに思い入れを持っているようなのも良いです
サンダーボルト先生とかクビナガとかちゃんとした大人がロズに理解があるのも良かったです🤗
吹雪の中、島の動物たちを助けに巣に来たロズに動物たちはビックリしてましたがピンクシッポのお母さんだけは子供たちに「もう、大丈夫よ!」と声をかけるのもロズへの信頼が感じられてよかった🤩
得体のしれないよそ者でも相手に誠実に接していればけものフレンズたちは応えてくれるのだ!🎒🐈
細かいことを言うと
最初の方のロズの行動理念を見てこのプログラム作った人はいい奴そうだな、と思ったんですが後半のタコ型は物語の都合上とはいえ言動が悪役ムーヴ過ぎる気がしました。
お前もAIなのにずいぶん感じ悪いな!
この映画に限った話でもないですが、AIが自我を持つ系の話は「急に自我強っ!」ってなる話が多いように思います😌デトロイトとか
それとキラリが小さい体だから小回りが利いて旋回とか急降下が得意というのはわかりますが、そうしたらそれについていくのは普通の大きさの仲間には難しいということになるから作戦として駄目なのでは?とか考えてしまいました
あと熊君🐻そうはいっても熊君🐻春になったら食べるよね
まぁそんなのをひっくるめても凄くいい映画でした!
さっきオフィシャルサイトを見たら文部科学省選定作品と書いてありましたが
私も選定します!🤗映画館でウォッチ!
ロズを心から応援したくなる!
予告を観てすぐに鑑賞を決め、公開を待っていた本作。初日は時間の都合が合わず、公開2回目に鑑賞してきました。休日の昼間とあって客入りは上々、初日のレビュー評価も上々で、今後のヒットが期待できそうです。
ストーリーは、輸送中に嵐に見舞われ、無人島に流れ着いて起動した最新型アシストロボットのロズが、島に暮らす動物たちから行動や言語を学んでいたある日、たまたま見つけた雁の卵から孵化したひな鳥に「キラリ」と名付け、無事に渡りの日を迎えられるようにすることをミッションと捉え、子育てに奮闘する日々の中で、しだいにプログラムを超えた変化が現れてくるというもの。
率直に言ってメッチャよかったです。前半は、偶然出会った雁のひなを渡りができるまでに育て上げるロズの姿に心を打たれます。島の中で異質な存在のロズが、動物たちから怪物扱いされようとも、なんとかうちとけようと奮闘する姿やキラリと名付けたひな鳥の世話を懸命に続ける姿に、熱いものがこみ上げてきます。圧巻なのは、最終ミッションと位置付けた飛行訓練。渡りの日が迫る中、キラリと二人三脚で励む様子が涙を誘います。それを息を飲むような映像美で見せる渡りのシーンは、ロズとキラリの心情と相まって本当にすばらしいです。
後半は、ボッチとなったロズが島の仲間と団結する姿が描かれ、こちらもまた熱いものを感じます。ロズの背景としては情報不足でわからない部分も多いのですが、キラリ、チャッカリー、他の動物たちとの交流を通して、ロズが心を手に入れていく様子が沁みます。吹替版で観たのですが、綾瀬はるかさんのやわらかな声もキャラにマッチしていて、しだいに人間らしさだけでなく、母性まで感じさせる演技に、心が温かくなります。
前半だけでも一つの作品として十分に成立する内容なのですが、後半にロズ自身の物語を描き、作品の奥行きを増し、見応えのある作品に仕上げています。ロズやキラリはもちろん、チャッカリーの変容も爽やかに描いています。また、他の動物たちの相互理解と協力の姿も描き、分断が加速する現実の世界に警鐘を鳴らすかのようです。
ロボットと動物の交流を、子どもにはわかりやすく、大人にとっても見応えのある、美しい映像と感動的なストーリーで描く本作。ぜひ多くの親子に鑑賞してほしいと思います。おすすめです。
吹替版キャストは、綾瀬はるかさん、柄本佑さん、鈴木福さん、いとうまい子さん、千葉繁さん、種崎敦美さんら。声優さん以外はご本人の顔がチラつく面もありますが、全体的には悪くなかったと思います。
全人類におすすめ
親子で見る映画としては満点です。
予告編PVで見せすぎ。
いや、面白いですよ。
ホントに。
設定といい、ストーリーといい。
予告編を映画館で見せられてさえいなきゃ。。。
ラスト付近のクライマックスまでは予告でださんといて欲しかった。。。
それがなきゃ随分評価は変わったのに残念。
例えばベイマックスの日本公開前のプロモーションでは、あんな後半のスリリングなバトルアクションな展開なんか想像もつかないようなほのぼのした予告映像しか流れておらず、見事に予想を超えてきたので鑑賞前後の作品の印象がガラリと変わった。いい意味で。
(米国では逆に後半パートに寄せた真逆のプロモーションだったらしい。)
アレが予告編の正解例だと思う。
配給会社もいかに映画館に足を運んでもらうかギリギリのところを狙ってPRしてるんでしょうが、もうちょい考えて作ってほしい。
ホントに劇場に来てくれた観客の琴線に触れさせたら、今の時代、ネットの口コミでいくらでもハネるんだから。
今回のは明らかに失敗。
ジークアクスの予告を見習え。
映画二本分楽しめる
結論、良い作品。
家族に限らず、いろいろな立場で解釈できる。
物語としては、かなり「定番」の部類だと言っていいだろう。
製品としてプログラムされたロボットが、人間や動物といったキャラクター達と心を通わせ、最後は…というあのパターン。
前半はガンのキラリが旅立つまで、後半はロズが自身のアイデンティティを見つけるまでという構成なんだけど、前半で作品一本分のドラマを見せておいて、後半でさらなる大スペクタクルが待っている。
お話は定番の部類と書いたが、ここで描かれる「与える」と「もらう」のバランスが絶妙で、もちろん家族の親と子の話にも見えるし、社会的弱者や外からやってきた他者がそのコミュニティの中で自分の居場所を見つける話でもある。
動物界には「狩る」「狩られる」が、人間界にも宗教や民族同士などの対立があり、簡単に同じ屋根の下で暮らすなんてできない。
「でも、そこに秩序もルールもなくなったら、いつの日か皆が全滅する未来しかないよね。」
っていうメッセージは、社会への警告であると同時に、過去からある動物モノのストーリーにも一つの解答を提示している様にも見える。
その意味では、冒頭にピンクシッポとの話のちょっとしたすき間に「生と死」を織り込むなど、現実に向き合ってるのも好感が持てる。
ホントならもう少し★を高く付けたいんだけど、この声のキャストが私にはあまりピンと来なかった、というか、事前に声優をタレントが担当してるとは知らなかったのに、登場して一声で「あ、綾瀬はるかじゃん」「柄本明の息子じゃん(ごめんなさい。ご兄弟の名前がどちらか判然としなくて)」「福くんじゃん」と、俳優の顔が頭に浮かんでしまって、前半はフワフワした感じで眺めてた。
でもその辺は徐々に気にならなくなるし、キラリの旅立ちではちゃんと泣ける。
ただ、このロズは「どうなったら(ロボットとして)死ぬのか」がちゃんと提示されないので、眠ったのか電源が落ちたのかバッテリーが切れたのか壊れたのか、それともこれで死んだのか、観ながら心の持って行き場をどうすればいいのかよく分からないってのはあったかな。
とは言え、映画として良くできているし、「画」にもすごくこだわったシーンが多いのも魅力。音楽もいい。
パンフレットも、作品の「画」としての素晴らしさをちゃんと残してくれてて、解説やインタビューも充実。この映画が好きな方なら満足できる内容だと思う。
春休みまでに是非劇場でご覧頂きたい。
予告編見たことなければ★4、見たことあれば★3.5
なんで雁なんだろうって思ったんだけど、 ミッションを与えられてなる...
AIを存分に所有、駆使できる企業や国が覇権をにぎる時代を目前にして、この作品の何と暗示的なことでしょうか。
アメリカの作家ピーター・ブラウンによる児童文学「野生のロボット」シリーズを原作に、野生の島で起動した最新型ロボットが感情がないはずなのに心が宿るという王道の展開です。
でも、設定を少しひねれば物語はいかようにも広がっていきます。「シュレック」や 「ボス・ペイビー」を手がけたドリームワークスの最新作は、人間をサポートするために作られた最新のロボットが、無人島で「子育て」に奮闘する様子を描く長編アニメ映画です。
●ストーリー
嵐の影響で、ユニバーサル・ダイナミクス社の輸送機がロッザムロボットを失い、ロボットは大自然に覆われた無人島に流れ着きます。ロボットの中で唯一生き残ったロッサム7134、通称「ロズ」(声・綾瀬はるか)は、野生動物によって偶然にも起動ボタンを押されて起動します。
都市生活に合わせてプログラミングされたロズは、野生の島では動物たちを怖がらせるばかりで全く機能できませんでした。それでもロズは学習機能を駆使して野生動物たちと意思疎通できるようになりますが、疎まれてしまうのです。助けを必要とする存在を見つけられないロズは、製造工場に帰ろうと救助信号を送ります。しかし雷に打たれ、動物たちに襲撃されてしまいます。凶暴なクマのソーン(声・田中美央)から逃げる途中、誤って雁の巣を潰してしまい、一つの卵が残ります。ロズはその卵を空腹のキツネのチャッカリ(声・柄本佑)から守るのです。卵から孵った雛に「ママ」と呼ばれたことで、ロズに思いもよらなかった変化の兆しが現れます。
多くの子を持つオポッサムのピンクシッポ(声・いとうまい子)から助言を受けたロズは、雛が冬の渡りに備えて飛べるようになるまで世話をすることを決意し、雛に「キラリ」(声・鈴木福、濱﨑司(幼少期))と名付けるのです。チャッカリもロズと共に暮らすようになり、ロズの住処作りを手伝うことになります。キラリは成長するにつれ泳ぎを覚えますが、他の雁たちにからからかわれます。やがて、ロズがキラリの家族を死なせた原因であることを知ったキラリは怒り、ロズと仲違いして飛び去るのでした。
島に残ったロズの優しさに触れ、怪物として彼女を拒絶していた動物たちも、次第に島の“家族”として受け入れていきます。
動物たちと共に厳しい冬を越えた頃、回収ロボットが彼女を探しにやってきます。果たして、築いてきた動物たちとの絆から引き裂かれようとするロズの運命は?島の存亡をかけたロズと動物たちの戦いが、いま始まろうとしていました。
●解説
ロズはひな鳥に「キラリ」と名付け、飛んだり泳いだりと、渡り鳥には欠かせないスキルを手探りで教えていきます。プログラミングが通用しない環境で悪戦苦闘するうち、想像もしなかった喜びに出会うのです。ロズに感情が芽生えていく過程は、同じような経験を思い起こして共感する人も多いことでしょう。
監督は、老練クリス・サンダース。趣向の数々がみごとに決まっています。特にロズの造型が面白いのです。シンプルなスタイルですが、実に表情豊かです。目や胴の放つ光彩や身振りをうまく使っていると思います。
雁の雛がかえって、初めて目にしたロズに 「ママ」というところなど心憎いかぎりです。この瞬間、なんとロズに「母性」が芽生えたのでした。機械であるロボットにあり得ない展開なのに、AIの学習機能の結果、そんな突然変異が起こり得るのかもしれないと思わせる展開が巧みです。
ロズは、チャッカリなどの協力を得て、キラリを立派な渡り鳥に育て上げるのですが、そのくだりも華麗に見せてくれます。キラリが交流することになる雁の大群は3万羽近く、ロズが遭遇する蝶の群舞は8万頭が登場して、その映像美に圧倒されました。
季節の移り変わりとともに進む物語は絵画のように美しいシーンの連続。手描きで表現された自然豊かな島の背景には、CGだけでは出せない温かみと深みがあったのです。サンダース監督は、いわばアニメ技法のありったけを披露してくれました。
物語は後半、がらりと様相を変えます。ロズの体内の回収装置が始動して、大都会の本部がロズの回収にかかるのです。前半の動物たちの家族愛、共生、多様性といった温もりに人間が水を差し、戦いが始まります。
私たちはいま、AIを存分に所有、駆使できる企業や国が覇権をにぎる時代を目前にしています。この作品の何と暗示的なことでしょうか。
日本語吹き替え版では綾瀬はるかがロズの声を務めています。序盤の機械音声のような口調に、徐々に人間らしい感情がにじむ様子を繊細に表現していました。
日本語吹き替え版では綾瀬はるかがロズの声を務めています。序盤の機械音声のような口調に、徐々に人間らしい感情がにじむ様子を繊細に表現していました。
全230件中、141~160件目を表示