「風水の勉強をしてから鑑賞すると、最後の戦いの意味がスッと入ってきますよ」破墓 パミョ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
風水の勉強をしてから鑑賞すると、最後の戦いの意味がスッと入ってきますよ
2024.10.18 字幕 イオンシネマ京都桂川
2024年の韓国映画(134分、PG12)
赤ん坊の病に悩まされる一族の依頼を受けて、墓の引越しに関わる風水師たちを描いたホラー映画
監督&脚本はチャン・ジェヒョン
原題は『파묘』で「破墓」、英題は『Exhuma』で「掘り起こす」という意味
物語の舞台は、アメリカのロサンゼルス
韓国からLAに渡り事業を成功させたパク・ジヨン(キム・ジェチョル)は、生まれて間もない赤ん坊の病気に悩まされていた
高度な医療でも原因がわからず、そこでシャーマンのファリム(キム・ゴウン)とその弟子ボンギル(イ・ドンヒョン)を頼ることになった
ファリムはひと目で「先祖の墓に問題がある」と言い、風水師のサンドク(チェ・ミンシク)と葬儀師のヨングン(ユ・へジン)に先祖の墓の調査を依頼することになった
韓国の江原道の郊外に向かった一行は、そこで悪地ではない場所に建てられた墓と対面することになる
墓標には名前が刻まれておらず、その裏側には座標のようなものが彫られている
一見すると風水的には最高の場所だったが、彼らはその墓を別の場所に移すことになった
物語は、その棺を掘り起こした作業員の一人が赤い蛇を殺してしまうところから動き出す
それによって、何かの封印が解け、棺に異変が起こり始める
サンドクは一刻も早く火葬をした方が良いとジヨンに言うものの、ジヨンの祖母(パク・ジョンジャ)は火葬に反対の立場だった
ようやく祖母の理解を得られたものの、その日は大雨で、風水的には火葬ができない
そのために火葬するまでのタイムラグができてしまい、さらに奇妙なことが起きてしまうのである
映画は、ジヨンの祖父の墓の下にもう一つの墓があることがわかり、それが垂直に埋められていたことがわかる
それ自体が「杭」の役割を示していて、その場所は韓国(朝鮮半島)の風水的な重要地点に刺されたものだった
埋葬されていたのは関ヶ原の戦いで負けた将軍のもので、その墓を杭として使用し、その上に「韓国を日本に売り払った(おそらくは併合に前向きな政治をした)ジヨンの祖父」の墓を埋めることで、それが暴かれないように仕向けていた
だが、ジヨンの一族は常に長男が災難に遭うと言う歴史を繰り返していて、その解決のためにファリムたちが戦うことになったのである
話の流れから、将軍の正体は大日本帝国の要職の誰かだと思っていたが、まさか関ヶ原まで遡るとは思わなかった
さすがに靖国を絡めると色んなしがらみがあるので避けたのだと思うが、それはある意味で正解なのだと思う
将軍の正体は結局誰かわからないのだが、歴史を紐解けば何となく察することはできる
だが、そのあたりは曖昧な方が良くて、いっそのこと「源平時代」とかでも良かったし、死体が不明と言うことならば、織田信長とかでも良かったのかもしれない
ただし、日本の実在の人気の武将を韓国のシャーマンが倒すとなると色々とありそうだが、ファンタジーにあれこれ言うのもナンセンスなので、そこまで踏み込んでも良かったのかなと思った
いずれにせよ、なかなか強烈な作品で、ボンギルの刺青とかも伏線になっていたのは驚いた
主要4人の名前の由来は「韓国の活動家」から取られているので、色んな意味で政治色が濃い作品でもある
このあたりは韓国版ウィキをググると色々と出てくるので、興味のある人は拙いグーグル翻訳を頼っても良いのではないだろうか