劇場公開日 2024年10月18日

「優しいだけのダメ男は反省すべき」ジョイランド わたしの願い アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5優しいだけのダメ男は反省すべき

2025年2月5日
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鑑賞方法:映画館

パキスタンがどんな国か少し調べた。今の人口は2億4765万人と世界第5位。イスラム教徒の数は世界2位。英国領の時代はインドと同じ政府下に置かれたが、1947年にヒンドゥー教のインドと分離されパキスタンとして独立した。当初はインド東部も東パキスタンだったが内戦やインドの介入によりその地域はバングラデシュとなった。インドとは緊張関係が継続してるようだし、アフガニスタンや中国との関係もある。国境を挟み政情、宗教、言語が違う各国と渡り合うのは大変である。
そんなパキスタン第二の都市ラホールの伝統的家父長制の9人家族(父、長男夫婦とその子供4人、次男夫婦)の中で、定職に就けず家族の世話をしている次男ハイダルが主人公。
ただピュアなだけのダメ男だが、とても優しいので妻のムムターズにも不倫相手のヒジュラである踊り子のビバにも愛される。
だが優しいだけの男には悲劇が襲いかかるものである。ムムターズが何故、自死を選んだのか?
ハイダルは夫として何もできず、父や兄は弟嫁の死より男系跡取り問題の方を考える(最低である)。唯一ムムターズに寄り添ってくれたのはジョイランドで束の間の開放感を共にすごしてくれた兄嫁ヌチだけだった。
初めて観たパキスタン映画は重苦しいテーマであったが、インド映画とは全く違う映像美を随所に散りばめた感慨深い作品であった。各種映画祭での評判も納得できました。この新鋭監督の今後に期待したい。

アベちゃん