「こだわりの強化」ぼくとパパ、約束の週末 ガゾーサさんの映画レビュー(感想・評価)
こだわりの強化
2024年劇場鑑賞296本目。
パンフレットないのでマイナス0.5。
自閉症の子供がサッカーの推しチームを決めるため、実際に56チームをホームスタジアムも含めて考慮したいので現地で試合を観たい、という希望を父親が叶えるため毎週末出かける実話。
それ自体はすごく素敵なことだと思うのだけど、親が過保護すぎるというより少し息子優先過ぎると思いました。
例えば公共のバス停でお気に入りの席があって、そこに他の人が座っていたら親子でどかそうとして、どかないのは人でなしみたいな言い方をするのですが、公共の場所で席を決める方が障害関係なく無茶な話で、そうならないよう事前に毎回違う席に座るよう誘導したり、先に座った人が優先というルールを伝えておくべきだと思います。他にも人を傷つけてはいけない、という一番大事なルールを、彼くらいの知的レベルがあれば論理的に説明できればいくらでも納得できるのに息子には人を傷つける気がないからで済ます。確実に人は傷ついているのに。
周りが躾しろとか色々言ってくるのを息子は自閉症だからで済まそうとする前に何が苦手か説明したり、こだわりが強化されないような工夫をしたりがないので、このまま大人になって無数の自分ルールが外せないようになる、いわゆる2次障害が起きます。基本は障害者が受けたトラウマで起こる新たな障害、例えばしゃべり方をからかわれて親しかいないところでないと話せなくなるとか、食べこぼしをからかわれて拒食症になるなどですが、自傷行為で簡単に希望が通るようになると自分ができていたこともやって欲しくて自傷行為するようになるというパターンもあり、この親子の関わり方を見ていると親が守れなくなった時に背負わなくていい生きづらさを抱えることになるだろうな、と思いました。