劇場公開日 2025年6月6日

  • 予告編を見る

「偉大なるケビンベーコン!」MaXXXine マキシーン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 偉大なるケビンベーコン!

2025年9月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ドキドキ

 Xトリロジーの完結というより、80年代の映画や音楽へのオマージュが限りなく散りばめられた映画愛に溢れる作品でした。さすがに『X』のときにマキシーンはパールの孫ではないのか?という予想は見事に外れてしまいましたが、なぜかパールのスターになる野望や残虐性だけは引き継いだままでした。時系列では『X』の次に観るのが正解だと思います。しかし、『パール』の内容も今作に活かされていました。『パール』に登場した友人ミッツィーがマリリン・モンローそっくりのブロンドヘアに対して、スターになるにはブロンドしかない!と思ったのか知りませんが、この映画でミア・ゴスはブロンドに。

 また、『パール』の総天然色感は『オズの魔法使』を思い出したのですが、それが今回、「ジュディ・ガーランドの墓・・・」という台詞が登場して嬉しさ爆発。『サイコ』とか『サイコ2』のモーテルといったオマージュよりも印象に残りました。

 80年代の退廃的とも思える文化描写から始まり、数々の音楽リスペクト。さらにストーリー自体はポルノ女優からハリウッド女優になったというマリリン・チェンバースへのオマージュか?彼女の初期作『Behind the Green Door』(1972)のビデオもあった。

 ワンダーウーマンのコスプレも面白かったけど、冒頭のベティ・デイビスの言葉からエンディングのキム・カーンズの「ベティ・デイヴィスの瞳」を使うのが上手い。個人的に良かったはDJケイシー・ケイサムによる american top 40のトークが流れ、そこでの第1位はサントラの「セント・エルモス・ファイア」。映画館の看板にもあったし、時代がピッタリでした。

 もう一つ気になるシーン。ハリウッドの有名な歩道上にあるウォーク・オブ・フェイムに立つマキシーンがTheda Baraの★でタバコを消すところ。セダ・バラは20世紀初頭のサイレント時代にセックスシンボルとしてスターになった女優。調べてみると、その名前はアラビア語の「死」を意味する「Arab Death」のアナグラムとされているそうです。映画では意味も二通りあるように使われているし、『パール』で飼っていた(?)ワニの名前が「セダ」だったというトリプルミーニング!と考えたら凄いな・・・

 二重の意味といえば、エリザベスが邪魔者は潰せなどと言ってたけど、偉大なるケビンベーコンは別の意味で潰されちゃいました・・・この作品の中で最も残酷なシーンだったと思うし、これがエンドロールで“for Kevin Bacon”になったんじゃないかとw

 狂信的な神父である父アーネストがハリウッドそのものを悪魔教として追求したりして退廃的文化を批判するという奥深さはあるし編集の巧さは見事であるものの、特殊効果などの出来映えはほぼB級ホラー映画。エリザベスが語っていた「A級映画の着想でB級映画を作る」という台詞が効いてくる。こう考えると、最もオマージュの重きを置いたところが70~80年代のB級ホラー映画だったことは間違いない。

 ついでに調べてみると、レオンがワニに襲われているビデオを観てたのですが、それはイタリア映画の『パニック・アリゲーター/悪魔の棲む沼』(1978)でした。トビー・フーバーだと思ってたのに・・・残念。

kossy
ゆーきちさんのコメント
2025年9月12日

共感ありがとうございました。

音楽ものには強いんですが、話についていけな過ぎました。すっごい前に見たので、ストーリーは覚えてませんwww

ゆーきち
琥珀糖さんのコメント
2025年9月11日

コメントありがとうございます。
「スター誕生」はぜんぜんまぐれ当たりでした。
私も忘れてました。
kossyさんの博識と音楽の詳しさ、
すごいって思って読ませていただきました。
私のはほんのマグレです。

琥珀糖