「タイ・ウエストにふさわしくない映画は認めない」MaXXXine マキシーン 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
タイ・ウエストにふさわしくない映画は認めない
X、パール、そしてマキシーン。
タイ・ウェストによるA24製作の本シリーズは、
この『マキシーン』でついに終止符を打つのであろうか。
もしそうであるならば、
今作のシナリオは最初からこの形で構想されていたのか、
という疑問が残る。
なぜパールがモンスター化したのか、
それを受け入れたハワードは、
戦争でなにがあった、
そこはやらないのか。
マキシーンとパールが鏡像のように対峙するような、
「サイコ」を彷彿とさせる設定、
(異端者の家との被りを避けたか)
それをスプリットしたりカットバックしたり、
あるいは、「チャイナタウン」のジャック・ニコルソンのように、
ケビン・ベーコン(鼻バンドエイド、衣裳)が、
執拗にマキシーンを追い詰めるような、
より濃密なサスペンス劇を、
準備しいたのではないか、
そんな気がしてならない。
前々作、前作を完成させたチームが本作のようなものを製作するだろうか。
その背景には、『サブスタンス』『アノーラ』
『エミリア・ペレス』『ベイビー・ガール』のような、
〈私にふさわしくない人生は認めない〉系、
類似作品との被りを避けたのか・・・
いろいろと邪推をしてしまう。
しかし、ないものねだりをしてもしょうがない。
「MAX〈XX〉INE」というナンバープレートのタイトル、
〈ZZ〉TOP(マキシーンがセリフでTOPをSTARと言っていた)。
そして「私は私に似合わない人生は受け入れない」
と、
「X」では〈聖なる干渉〉
本作では〈神の介入〉
と訳されていた(たぶん)、
宗教二世のマキシーンの
「Divine intervention」
ジャンカルロ・エスポジートの、
表でニコニコ裏はこわい、
ロス・ポジョス・エルマノスの店長的な存在、
ボビー・カナヴェイルの、
やっとHOLLYWOODまで来て・・血。
「X」の劇中監督RJが、
ジャンル映画をアート映画に見せかけて、
やってることは、
ホラーっぽいポルノ映画で一攫千金、
を成し遂げたタイ・ウエストが、
ジャンル映画をエンターテインメント映画に昇華させ、
ビジネスの流れを、
再構築することに執念を燃やす(A24含)、
プリンセス・ダイアナのイメージがまだまだ色濃い、
エリザベス・デビツキの劇中監督、
ゲームチェンジャーとしてのシンボリックなイメージとしては、
最適なキャスティング、
と合わせ鏡。
などを最低限は決めていた所をみると、
そうそうに邪推したような内容はあきらめて、
タイ・ウエスト自身に、
私にふさわしくない映画は認めない、
と、
結局この5点だけを見せられた気もした。
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