劇場公開日 2024年11月15日

「ローマ帝国の皇帝ってどういう存在なのか。」グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ローマ帝国の皇帝ってどういう存在なのか。

2024年11月17日
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鑑賞方法:映画館

興奮

荒廃したローマ帝国の街並やコロセウム、ローマ帝国とヌミディアとの闘いなど、リアルな映像、壮大な映像は観ているだけで楽しい。剣闘士がヒヒやサイと闘う映像は興奮させられる。
しかし前作のグラディエーターのコモドゥス帝と比べるとクズ皇帝としてのカラカラ帝、ゲタ帝の存在感が弱い分、話のメリハリに欠ける。父マルクス・アウレリウスに愛されず絶対的権力を握ってしまった実在する愚帝コモドゥスの恐ろしさに説得力があっただけに、その存在感には敵わない。この映画では2人の皇帝以上に、歪んだ存在感を発揮するのがデンゼル・ワシントン演じるマクリヌスであるが絶対的な悪として悪行の限りを尽くし話を盛り上げたコモドゥスに比べると勧善懲悪的な単純な構図にはならないだけに、どうしても観ている者の心を揺さぶる感覚には欠けてしまう。
前作との比較ばかりしてしまったが、ローマ帝国好きな僕としては十分に楽しむことのできる迫力満点の素晴らしい映画でした。カラカラとゲタの2人の皇帝と最後の5賢帝マルクス・アウレリウスの娘でありコモドゥス帝の姉ルキッラという1800年前に実在した人物に思いを馳せる。実際に行われていたコロセウムでの大がかりで残酷な剣闘士達の闘いや、それに興奮するローマ市民に思いを馳せる。一方最底辺の身から這い上がる奴隷ルシウスの闘う姿に感情移入し興奮させられました。

ゆみあり