劇場公開日 2024年11月15日

「リドリー万歳!デンゼル万歳!! 絶好調な役者陣を味方にまたもやってくれた」グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0リドリー万歳!デンゼル万歳!! 絶好調な役者陣を味方にまたもやってくれた

2024年11月15日
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「怒り」こそ最強の武器?選ばれし者"'the one"であることを受け入れるまでの物語で、「怒り」以外の何か大事なものを思い出し・受け継ぐ。それは夢や理想、命をかけるに値するもの。負の感情に支配されるよりもっと未来につながる価値のあるものだ。リーダーに必要な民を導く統率力に仲間を鼓舞する演説上手も?
VS 対するは、腐敗した政府・政治(家)="真実"を武器に民を操る巨大権力や、時として何よりの現実悪。負の感情を利用して、コロセウムの外で(本作のもう一本の柱として)着実に進んでいく立身出世の政略クーデター。暴政の下で血が流れる、流れすぎた…。真に倒すべき・断つべきは、そうした地獄に続く道だ。
ペドロ・パスカル演じるアカシウスは、本作におけるマキシマス(先人たちの功績と意志を本作の舞台"現代"に語り継ぐ疑似父)だ!つまりルシアスが彼と対峙することは、ルシアスがマクリヌスに言われてきたように、それまで最大の武器・強みであると思っていた「怒り」が如何に空虚かを悟らせるのだ。そのため主人公ルシアスがコロセウムで人間相手に最初の殺しをするときなど、彼のまだ抱えている内なる「怒り」を表すように、寄り&スローモーションで少し観客が引くほどショッキングに描かれているのが印象的(=マキシマスと違い、剣闘士というものに適応する早さ?)。
"the one"モノその点で同年『DUNE砂の惑星PART2』と共通するが、『DUNE』のポールがそうした"the one"を計略的に演じていたのに対し、本作のルシアスは周囲の支えや影響こそあれど自らの力で気づき(迷いや葛藤などあれど最終的にはある程度)ちゃんと腹落ちした上で、その運命を受け入れていく、という点が大きく異なる気がする。正の感情エネルギーに変換して。

我々に死は近づかない!力と名誉を、敗者に哀れみを…ローマの夢が叶う!! 正しく歴史を次の世代へと語り継いでくれた。ローマ帝国の栄光は今再び永遠不滅となった。
なにより影を糸を引くゲームマスターとして君臨する名優デンゼル・ワシントンが圧巻で、本作の大きな見どころ。リドリー・スコットと前回組んだ『アメリカン・ギャングスター』(大好き!)のときより更に凄みが効いているのではないかという、ノリノリな悪役っぷりがヤバすぎ!シーンを、その場を完璧に食いかっさらっていく圧倒的存在感には終始参ったの一言で、文字通り目が離せなかった。作中で「どの言語もしゃべる、世界の共通言語は"暴力"だ」みたいなセリフがあったけど、もう何語で話してくれてもいいよ。それくらい何時何処でもやってくれるだろうという揺るがない確信がある。
世界観を守るように前作と同じトーンが、僕らをあの名作の世界に誘ってくれるのにそう時間はかからない。ゆえに物事の進み方や場面の作り方(外側)には既視感もあるが、そうした前作という大いなる遺産に過多に頼ることなく、驚くほどしっかりと本作が製作された意義を感じるオリジナリティ(内側=核・本質)が展開されている。マルチカメラにより収められたアンサンブル・オールスターキャスト豪華共演による目を奪われる圧巻のアクションと、奥行きのある重厚なドラマが、最後の最後までひたらすら胸アツ。政略戦など誰が噛ませ犬になるか分からない油断ならない・予想できない展開も手伝って、そのスケール感に没入していく!前作の冒頭のアクションは、『プライベート・ライアン』のノルマンディー上陸作戦に次ぐくらい語り草になるに相応しい素晴らしいものだったが、本作の冒頭のアクションも負けじと気合が入っていてよかった。砂を手に取る仕草。

『アフターサン』鑑賞から個人的にまちがいなく推し俳優となったポール・メスカル。今まで大作というよりはインディー系・アート系などドラマのイメージが強かった彼の本格アクションデビューは仕上がった肉体美同様、高い期待に応える素晴らしい出来だった。
デンゼルは今回もオスカーノミネートされて受賞も狙えるだろというくらい特別枠ながら、狂気の双子皇帝を演じたフレッド・ヘッキンジャーもよかった。ペドロ・パスカルとジョセフ・クインに、前作からの重要な生き証人枠コニー・ニールセンも。そして、ポール・メスカル vs ペドロ・パスカルという最高すぎる対戦カード実現!名前の音が似て、脂の乗った(そして何より大好きな)演技派対決にも刮目せよ。まだ若い彼にアクションスターとしての道も切り拓いた。
ちなみにペドロ・パスカルと言ったら、『イコライザー2』で「一度しか殺せないのが残念だ」とデンゼル演じるマッコールさんに殺られた歴史のオーナーだが本作もまた同じ側にはならなさそうな力関係で、更に遡れば『キングスマン/ゴールデン・サークル』で悪くもないのにマシュー・ヴォーンのイカれた倫理観ゆえに悪役として不憫な最期を迎えたお方。ということで、今回も映画史上屈指の殺られ役俳優ショーン・ビーンに次ぐくらい今回も退場してしまうのか?…は観てのお楽しみ。

GLADIIATOR
"地獄への扉はいつも開いている"

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【鑑賞前期待コメント】
今まで大作というよりはインディー系・アート系などドラマのイメージが強かったポール・メスカルの本格アクションデビューに期待大!『アフターサン』を観てから推しと言っても過言ではないくらい好きな役者の一人なので、素直に楽しみ。また、そんな主人公ルシアスを剣闘士の世界に引き込む謎の奴隷商人という役柄で名優デンゼル・ワシントンのショースティーラー必至のノリノリな熱演にも大注目!!
この2人の存在と役柄だけでも今年トップレベルに楽しみなのに加えて、狂気の兄弟皇帝フレッド・ヘッキンジャー✕ジョセフ・クインの勢いある若手コンビの怪演からも目が離せそうにないし、アクション俳優としての地位を確立しているペドロ・パスカルがポール・メスカルと戦うという対戦カードも個人的にアツすぎ!そして、本作が監督・プロデューサー陣と裏方ばかりでなく、伝説の1作目から繋がっていることを演者側でもしっかりと感じさせてくれるという意味でも欠かすことができないコニー・ニールセン。
今なお衰えぬクリエティビティで多ジャンルにおよぶ新作を結構な短スパンでコンスタントに届けてくれるリドリー・スコット御大が、『エイリアン』や『ブレードランナー』など自分が生み出した傑作の続編を自分で撮るべきだったと発言するなど、シリーズにも意欲的なわけで、そんな御大が満を持して挑み、自らの手で続編という積年の思いが叶う本作はそれは絶対に面白いだろうと、鑑賞前からもはや確信に近い期待をせずにいられない。これは『ゴッドファーザー』よろしく続編で賞レース席巻する伝説更新も本当にあり得るかも?!

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とぽとぽ