「誰もが思わず自分と重ね合わせたくなってしまう作品」追想ジャーニー リエナクト ブンさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが思わず自分と重ね合わせたくなってしまう作品
誰でも人生において苦い経験をしたことがあるだろう。できることなら、時を戻してやり直したいと思ったことも。
この映画のポイントは、非現実的なタイムリープではなく、退行睡眠を使った追想だということと、主人公が何処にでもいそうな、若い頃はイキっていた、地味で情けない存在であることだと思う。
だから、我がこととして重ねやすく、考えずにはいられなくなってしまう。「自分だったら、どこから追想するだろうか」と。
大半の人の人生は、情けなく後悔や失敗も沢山ある輝かない人生である。
それでも、それでも。
人生という舞台では、自分が主人公であり、愛すべき自分だけの人生であると、思わせてくれる作品。
重たくなくテンポが良く、疲れていてもサラッと観られる。そして、温かい余韻を持ち帰ることできる。
主人公、現在と過去の雄二の掛け合いが絶妙で良。
現在の雄二、渡辺いっけいさんの演技力は言わずもがな。若いキャストの中で、その存在感が光る。
過去の雄二を演じる松田凌さんは、2.5次元俳優として有名だが、それだけには留まらない生粋の演劇人。「いけ好かない」さが上手い。さすが。
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