ザ・ブレイキンのレビュー・感想・評価
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【幼い頃の悲しい出来事から心の距離が出来てしまっていた兄弟がブレイキン世界大会決勝進出を掛けて、再び家族の絆を取り戻す様を描いた作品。登場選手達のブレイキンシーンは凄いし、日本代表も出演しています!】
■幼い頃、ブレイクダンスを共に行っていたトレイ(ケルビン・クラーク)とベンジー(カラム・シン)は、試合の帰りにふざけていたために、運転中の母が二人を叱るために振り返った際に、事故を起こしそれがきっかけで、心の距離が出来ていた。
その後、トレイは優等生に、ベンジーはブレイクダンスに夢中で父親との関係性も悪くなってしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤は、ハッキリ言ってやや物足りない展開が続く。トレイとベンジーを演じたケルビン・クラークとカラム・シンの二人はトップクラスのブレイカーとして活躍している人たちなので、仕方ないかなと思いながら観賞続行。
・だーが、そんな展開もトレイとベンジーが世界選手権最終選考に残る辺りから、ケルビン・クラークとカラム・シンの二人と彼らの仲間の見事なるブレイクダンスが次々に大スクリーンに展開される所から、ダンス好きの私は一気に物語にのめり込んで行くのである。
■最終選考から代表を選ぶシーン。コーチのケイトはベンジーを補欠とする。それに反発したベンジーは世界選手権に来ないのだが、一人の正ブレイカーが怪我をして決勝の対フランス戦がピンチになるのだが。
すると、ベンジーが父に詫び状を書き試合会場に現れるのである。
ここで”都合良すぎるじゃん!”とか言わないよーに。
そして、行われた決勝でフランスとトレイたちイギリスは挑発し合い、試合は無効になり、それぞれ代表選手対決となるのである。
フランスは、超強敵ブレイカーのDラックス。そして、ケイトが選んだのはナントベンジー。だが、ベンジーは兄のトレイに助言を求め、二人はDラックス攻略法を考えるのである。
<今作は、確かに序盤は展開が粗いし、英国コーチのケイトとフランスコーチの関係性も巧く描かれているとは言い難い。
だが、今作の邦題は「ザ・ブレイキング」であり、原題は「BREAKING POINT」である。(私としては原題を押したいところだが。)
ブレイクダンスの数々の凄技を楽しめる今作を、私は楽しく、そして後半は少し心に響くモノを感じながら観賞したのである。
故に、評点は3.5なのである!!>
ダンス動画としては良いけれど、映画として観ると粗が多すぎてキツい
2024.9.17 字幕 MOVIX京都
2023年のイギリス映画
ある事故を機に不仲になった兄弟ダンサーを描いたスポーツ映画
監督はダニア・バスクイーニ&マックス・ギワ
脚本はサリー・コレット&レイチェル・ヒロンズ
物語の舞台は、イギリスのマンチェスター
幼い頃に交通事故に見舞われたトレイ(ケルビン・クラーク、幼少期:Rocco Cheeham-Larcz)と弟のベンジー(カラム・シン、幼少期:Keyaan Faizy)は、それ以降不仲になり、ろくに話す機会も持たなかった
その事故によって母ローラ(Gelina Sinden)が亡くなり、父マーティン(ルシアン・ムサマティ)はひとり手で彼らを育ててきた
トレイは勉学に励み、大学を目指すほどだったが、ベンジーは「ランペイジクルー」というダンスチームに入れ込んでいて、夜中に高校に侵入しては、壁に落書きをするなどの悪態をついていた
ある日、ベンジーとチームメイト・レイラ(ジルー・ラスール)の基に、ケイト(ハナ・ジョン=カーメン)と名乗る「イギリスナショナルチームのコーチ」から連絡が入った
二人はイギリス代表候補に抜擢され、リバプールで行われる選考会に来るように言われる
だが、ベンジーは高校侵入によって停学処分になっていて、チームメイトのソフ(Pearly Whiri)たちとの関係を壊すつもりはなく、辞退するつもりでいた
その日は父の誕生日だったが、時間になってもベンジーは来ない
トレイは彼らの溜まり場に向かい、ベンジーを連れ戻そうと考えたが、そこで兄弟喧嘩が始まってしまう
不穏な空気が漂う中、クラブのDJ(DJ Target)は「ダンスで決着をつけろ」と言い放つ
ベンジーは衆目で恥をかくと嘲笑するものの、トレイは見事なブレイキンを見せて、周囲を黙らせた
そして、その様子をケイトが見ていて、トレイにも声が掛かるのであった
映画は、パリ五輪の種目に「ブレイキン」が採用されたことを受けて制作された映画のようで、ラストでは「ブレイキン採用のニュース」が飛び込むと言う内容になっていた
リアルの顛末は置いておいて、アングラにいた彼らのスキルが衆目に晒されることになり、その前哨戦的なポジションとしての世界大会が行われることになっていた
これまでは大した成績が上げられず、フランス代表のDラックス(BBoy Lagaet)の独壇場だったのだが、それに立ち向かうと言う構図になっていた
また、ケイトとフランス代表コーチ・デブス(アリス・イヴ)もかつての仲間だったと言う伏線があり、ヒューマンドラマ部分がかなりやかましい内容になっていた
ブレイキン自体が国の代表を選ぶと言うスタンスでバトルが展開してきたものではなく、ジャッジメントも独特なものがある世界
オーディエンスを巻き込んでの勝敗判定などが行われ、いかにして観客をグルーヴに乗せたのか、みたいなところが問われるところがある
ある意味、ラップバトルに近い印象があって、その即興性、アレンジメント、構成などが主軸になっているので、他の採点競技とは少し異なるように思えた
映画は、兄弟の確執がダンス大会を通じて解消されると言う内容なのだが、その兄弟喧嘩を最後まで引っ張りすぎている感じがした
同時期に『熱烈』という中国のダンス映画が公開されたが、物語の作り方、構成、ダンスシーンのエモさなど全てに完敗している印象があった
もっとも不可思議な点は、チームダンスバトルで勝負がつかない中で、個人対決になっていく流れで、本作の流れはかなり無理やりに近い
元々のルールとして、引き分けならば個人戦というものがあれば良いが、結局は反則による無効試合という流れを汲んでいるので、通常の世界大会ならば決勝2チームは失格、準決勝で敗退の2チームによる決勝が行われるというのが筋だと思う
なので、どうしても個人戦に持って行きたいのならば、引き分けで傾れ込む必要があるし、明確にルールを先に提示すべきだっただろう
さらに、そこで繰り広げられるダンスが本当にただの個人戦だったりするので、こちらもエモさが足りないように思えた
もう一つ不思議だったのは、国際大会があるほどの規模ならば「最初から団体戦と個人戦は別種目であるんじゃね?」と思わざるを得ない
このあたりを明確にクリアして、団体戦では失格、個人戦でリベンジとかの方がまだマシだったように思えた
いずれにせよ、ダンス動画としては楽しめる内容だが、シナリオ展開が微妙で、映画を通じてのリズムがすごく悪い
何度も喧嘩をしては止まるという繰り返しになっていて、かと言って兄弟の共闘というところにも向かわない
パリ五輪の開催によって公開を決めたのだと思うが、パンフレットも作られず、プロモーションも上手くいっていないのでスルーされてしまっている状況で、私の鑑賞会は「久々の貸切」だった
もっとドラマの部分を最小限にして、これが世界最高峰のブレイキン映画だというぐらいの熱量がないとダメなのではないだろうか
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