「いままでいい人間しかでてこない小説なんて噓くさいと思ってたんです。でも今は、それを信じたい。」アイミタガイ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
いままでいい人間しかでてこない小説なんて噓くさいと思ってたんです。でも今は、それを信じたい。
ベタなキャスティングから想像できる話のスジも、流れてくる音楽が誘う方向性も、だいたい想定内に進んでいく。それを退屈ととるか、安定ととるか。演出が過剰であると感じるものの、その先を説明したら野暮だよってところまでは踏み込まず、最後のおいしいとこはちゃんと客に委ねてくれている気はした。ベタと言いつつも、やはりそれぞれの登場人物が、そのそれぞれの役者の得意演技だけに、例えばテレビドラマに勧善懲悪ストーリーを求める層には、心置きなく泣けて、満足して帰れる映画なのだろう。俺は?俺は天邪鬼なので、いい話すぎて物足りないが。
ちょっと気持ちが揺れたのは、エンディングを黒木華が歌っていることに気づいた時かな。ストーリーと何の脈絡も感じない流行歌手が突然のように最後の最後に歌い出すよりも、主人公が歌うことのほうが全然いいし、余韻にもなる。
コメントする