「【今作は、トム・クルーズもビックリのミサイル炸裂オレオレ詐欺撲滅映画かと思いきや、お婆さんが自らの老いを受け入れつつ前向きに生きようと決意する姿を描いたチョイ沁みるヒューマンコメディなのである。】」テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は、トム・クルーズもビックリのミサイル炸裂オレオレ詐欺撲滅映画かと思いきや、お婆さんが自らの老いを受け入れつつ前向きに生きようと決意する姿を描いたチョイ沁みるヒューマンコメディなのである。】
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭から、夫を亡くし独り暮らしのテルマお婆ちゃん(ジェーン・スキップ:ナント、93才だそうである。ビックリ!)は寂しく暮らしているわけではなく、孫のダニエル(フレッド・ヘッキンジャー)と一緒に、TVで”ミッションインポッシブル”のトム・クルーズが屋根の上を激走し、隣のビルに飛び移った時に実際に骨折してしまった”フォールアウト”のシーンを見ている。上手いイントロである。
だって、テルマが激走するのかなあと思うじゃん。マア、確かに走るんだけどね。電動スクーターでトロトロと。クスクス。
・で、テルマの所に”ダニエルが妊婦を撥ねました!”という電話が入り、若い兄ちゃんの声で”1万ドル振り込んで!”と泣き付かれるのである。慌てたテルマは指示通りに、保釈金の1万ドルをポストに投函してしまうのである。この、”ポストに投函”と言う所がミソである。
・良いなあと思ったのは、それが、詐欺だと分かった際に、テルマの娘や息子はテルマを責めないんだよね。時折聞くのは、”何でそんな詐欺に引っ掛かるんだ!”と子供達から怒られて更にシュンとしてしまうケースが結構あるらしいのだが、今作では皆がテルマがボケてしまったのではないか、と体調を気遣うんだよね。
更に、孫のダニエルに至っては、”僕がキチンとお婆ちゃんを見ていれば。”と無職である事もあるだろうが、自分を責めてしまう姿かな。テルマの家族は彼女に優しいんだよね。
キット、彼女が子供達を若き頃から、キチンと育てたからだろうと思ったな。そして、孫のダニエルが、とにかくお婆ちゃん想いのいい奴なのである。
■けれども、テルマは取られた1万ドルを取り返しに、ナント施設の電動スクーターで街中に出て行くのである。仲良しの黒人ベンお爺さん(リチャード・ラウンドトゥリー)の制止を振り切って。だが、ベンもテルマが心配で同じく電動スクーターで付いて行くのである。ミッションインポッシブルとは大違いの、超スローでノンビリとした追跡開始が始まるのである。クスクス。
で、テルマは友達のお婆さんの家に行きコッソリと銃を手に入れ、記録してあった私書箱の番号を郵便局のゴミ捨て場の中で見つけて、ベンと共に取りに来る男を見張るのである。
・そして、現れた若い風采の上がらない兄ちゃん。で、後を付けると全然客のいない古道具店に到着し、テルマが中に入ると、店の奥でコレマタ酸素吸入器を付けた爺さんと兄ちゃんがパソコンの前に座っているのである。ショボいけれど、悲哀溢れる二人である。テルマが問い詰めると爺さんは”最近はアマゾンで皆モノを買うので・・。”などとモゴモゴ言うのである。
逃げようとした兄ちゃんをアッサリとベンが倒した後に、テルマはパソコンで金を取り戻そうとするのだが、既に口座に入金されていたので、”もう駄目か!”と思ったら、ナントパスワードが”パスワード”というコレマタやる気のない設定で、アッサリ金を取り戻すのだが、優しいテルマは一万ドルではなく9千500ドルを引き戻すのである。優しいなあ。
・途中で、テルマが電動スクーターのブレーキを掛けて居なかったために、車道に出てしまったスクーターが車に思いっきり引かれて粉々になるシーンは可笑しかったし、根性で歩いて行ったテルマが夜の公園の真ん中で転んで俯せで動けなくなった時に、ベンがやって来て、ごろんとテルマをひっくり返して起こして上げるシーンなどは、チョイ、沁みたなあ。
<で、全ては解決し、テルマはチョイ元気を取り戻して仲間のお婆さんたちと行きたかった店に皆で車で出かけたり、部屋ではコックローチが出ると、トム・クルーズの写真がドーンと出ている新聞で”ぴしゃっと"退治したりするのである。良いのかな、クスクス。
あ、あとね。スマホの補聴器と連動させた使い方は、ちょっと参考になったな。あんな使い方が出来るんだってね。あとは、テルマの手首にダニエルが付けていた”見守りフクロウ”見たいな、血圧や心拍数が分かるGPS機能もついた道具も面白かったな。
今作は、トム・クルーズもビックリのミサイル炸裂オレオレ詐欺撲滅映画かと思いきや、お婆さんが自らの老いを受け入れつつ前向きに生きようと決意する姿を描いたチョイ沁みるヒューマンコメディなのである。お年寄りを一人にしないテルマの家族や友達たちの姿が良かったですよ。>
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