劇場公開日 2025年2月21日

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「重過ぎず軽過ぎずフワフワとサラサラと」ゆきてかへらぬ だるちゃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0重過ぎず軽過ぎずフワフワとサラサラと

2025年5月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

中原中也という名は、早熟の詩人ランボォの名と共に、頭のどこかに残っていましたが、どんな人物だったのかは深く知る機会がありませんでした。
ただ、教科書に載っていたソフト帽を被った童顔の写真は、いつまでも脳裏に残っていました。
小林秀雄も教科書で名前だけ知っていましたが、どんな人物なのかは全く知りませんでした。
この映画は、実話に基づいていますが、まさかこの2人が1人の女性をはさんで、こんな不思議な関係にあったとは初めて知りました。
広瀬すずの演技はますます磨きがかかり、揺るぎない安定感なのは当然ですが、中也役の木戸大聖が、本人とソックリなのにはそれ以上に驚かされました。
文学界をテーマにした作品はどうしても重苦しくなり過ぎたり、逆に無用な冒険をして似て非なるアバンギャルドになり過ぎたりと、ちょうど良いバランスの作品が少ない気がしますが、本作はその間をうまく行ったり来たりして、フワフワとした浮遊感と、サラサラした爽やかさを両立しながら、ヤジロベエの様に上手くバランスを取りながら成立している様に感じました。
時代は違っても、現代にも通じる青春群像劇として、良作だと思います。

だるちゃ