「さようなら、母さん」本心 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
さようなら、母さん
2024年映画館鑑賞108作品目
11月17日(日)イオンシネマ石巻
通常価格1800円−dポイント300円
原作未読
原作は『マチネの終わりに』『ある男』の平野啓一郎
監督と脚本は『川の底からこんにちは』『ハラがコレなんで』『ぼくたちの家族』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『町田くんの世界』
『生きちゃった』『茜色に焼かれる』『アジアの天使』『月』『愛にイナズマ』の石井裕也
粗筋
母秋子が息子朔也の目の前で雨のため激流の川に身を投げ自殺した
救おうと川に飛び込んだ朔也は重傷を負い一年近く意識不明で入院していた
母は政府が新たに導入した自由死という制度を利用し自殺したのだった
勤めていた工場は完全機械化され知らない間に無職になっていた
一年後リアルアバターという一種の代行業に転職していた朔也は幼馴染岸谷の紹介でVF(バーチャルフィギュア)の開発者野崎と出会い亡くなった母をVFによって蘇らせることを依頼した
さらなるバージョンアップをするために野崎の勧めで母の友人の彩花と会うことに
朔也が知らない母の事実が明るみになっていく
三吉彩花の役名が三好彩花
なぜこんな紛らわしいことをするのか
いろいろと事情があるのだろう
石井裕也監督のことだから深い意図があるんだろう
ネットで検索すれば容易にわかることだが今はやらない
シャワーを浴びるシーンで嘘みたいなボインを披露
峰不二子を彷彿させる漫画みたいなオッパイ
彼女には大変失礼だがあれが1番嘘っぽい
死にかけの田中泯の芝居が良い
朔也を通じてイフィーに告られる彩花の表情の移り変わりが良い
彼女はわりとうまい
なぜかつてあんなマイナーなアイドルグループに所属していたのか事務所の売り出し方が疑問
普通にまずはファッションモデルとして売り出せば良いのに
とはいってもさくら学院からBABYMETALが誕生しているからな
あといわき市出身の松井愛莉もそれなりによくやっている
近未来を感じさせるのは前半の方で後半はちょっと「うーん」
最後の方はなんとなくモヤっとした
思ったより田中裕子の出番が多くない
母と息子のやりとりが中心の作品かと思いきやそうではない
朔也と彩花は同居はするが男と女の関係にはならない
恋人ではなく同居人だ
彩花は朔也に好意があるようだ
結局ラストがよくわからない
観る側に委ねたか
亡くなった母との再会といえば風間杜夫主演『異人たちとの夏』を思い出す
あちらは幽霊でこっちはVF
科学が発展するとあの世の世界はどんどん風化していくのだろうか
そういえば『エコエコアザラク』というホラー漫画で母を亡くした男が手術で体の一部に母の顔を作り一人二役をする話があった記憶がある
まあだいぶ昔の話で当時は小学生だったはずだからあてにはならないが
あと『激烈バカ』で息子に対してじゃなくて夫に残した最期の言葉が「ヘタクソ!」ってのも笑えたなあ
あれが1番の本心だろうけど最後の最後で命を振り絞って鬼のような顔して言い放ちすぐ息を引き取る中年女性を今でも痛烈に覚えている
配役
亡くなった母をVFで再現した一人息子で一年間意識不明で入院し退院後リアルアバターに転職した汗っかきの石川朔也に池松壮亮
自由死を選んだ朔也の母で同性愛者の石川秋子に田中裕子
秋子の親友だが年齢は朔也にだいぶ近い元SEXワーカーの三好彩花に三吉彩花
朔也の幼馴染で2人で中国に移り住みたい岸谷に水上恒司
朔也に惚れ込み彩花に惚れた著名なアバターデザイナーだが交通事故の影響で残り一生車椅子生活を続けなければいけないイフィーに仲野太賀
朔也のリアルアバターのクライアントで病院で薬物による自由死を選んだ若松に田中泯
VFの開発者の野崎将人に妻夫木聡
野崎の娘で生意気なあずさに太田凛音
野崎のお手伝いをするVFで元になった人物はすでに病死している中尾に綾野剛
朔也の高校時代に片思いしていたクラスメイトで売春がバレて退学する村田由紀に宮下咲
村田由紀に対する侮辱的発言で朔也に首を絞められる高校時代の担任に結城貴史
朔也に写真で遺体の確認と母明子は捜査の結果「自殺」と伝えるベテラン刑事に二階堂智
ベテラン刑事に同行した若い刑事に笠原秀幸
コインランドリーの清掃員に中村中
コインランドリーで清掃員にキレまくる利用客に大津尋葵
レストランの支配人に佐藤貢三
レストランのウェイターに福田航也
レストランのピアニストに後藤亜蘭
ふざけたクライアントの指示で朔也がメロンを買おうとした高級果物店の店員に坂ノ上茜
リアルアバターの先輩に前田勝
リアルアバターの先輩に佐野弘樹
リアルアバターのAIアシスタントの声に窪田正孝