本日公休のレビュー・感想・評価
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ノスタルジーに浸れるちいさな理髮店
母と子。娘婿。恩人。常連客。その他自分に関わる全ての人たち。その営みを淡々と描いた温かくも優しい映画です。
いくつになっても子は子。案ずる母の思い、そしてまた子が母に抱く思い。それぞれの思いが交錯します。それは見てるこちら側誰しもに思い当たる事ですね。
顔を見せなくなった先生を訪ねての道すがらの出来事も地道に誠実に生きて来た母アールイの人柄を表して見事です。そして恐らくは最後になるであろう先生の散髪シーンでのアールイの語りかけから生まれる歳月の流れと、その言葉を聞く家族の溢れる思いの波を描いて鮮烈です。
理髮店で髪を切って整えてもらうと言うのは心も整えてもらっていたのだと気づかせてもらったようでした。
温かくノスタルジックな描写で家族の間の感情や、老いを迎える心の動き、そして自身や子供たちのみならず、娘婿では無くなったチュアンなどに抱く新たな希望を描いて秀逸です。
いい映画を見ました
近所の床屋さんと同じ💈
台湾には床屋さんでの女性の顔剃りはないんだろうか。お客さんは子ども含めてみんな男だった。ヨーロッパも同様だ。産毛の色・質と習慣が日本とは異なるんだろう。
私には行きつけの床屋さんがある。
床屋さんはトークが命。近所の色んな話、おばさんかかりつけの医者の話、常連客の話、おばさんの親戚・息子・(今は亡き)夫の話など盛りだくさん。いきなり主題に入るのでわからないこともあるがそれは大体、私が見たことも会ったこともない人達の話。でもおばさんの手は常に動いて仕事している。ある段階になったら椅子を倒し、もう黙るから眠ってよいと許可がおりる。眠ってしまうこともあるし目をつぶるだけで眠らない時もある。「あれ、今日は眠らなかったね」とおばさんには見通しだ。映画のアールイさん同様、私の床屋のおばさんも前回の来店日をメモしているようだ。年に4回ほど行く理由は顔すっきりさせたい、マッサージが気持ちいい、着物を着るからだ。でも一番の理由は無器用な自分が剃ったら顔が血だらけ傷だらけになる、ましてうなじは自分では剃れないからだ。床屋に行くし美容院へはもっと頻繁に行くから忙しい。担当者は替えない。だからその人が店を移ったらどこまでも追いかける、可能な限り。その点、近所の床屋さんは家族経営で常連客あっての店だから盤石不動だ。
床屋さんは昔のヨーロッパでは外科医で歯医者さんも兼ねてた。だから映画「本日公休」で出張理髪へ行った先が元・歯医者さんという設定はいいなあと思った。根っこがつながっている。西脇順三郎の詩「齒醫者」を思い出した。手入れの行き届いたプロフェッショナルの道具類は美しい。だからそのシーンが映るたびに見惚れた。客に着せる上っ張り、ハサミ、櫛、剃刀、タオル、石鹸、シェービングブラシ。アールイさんは膝が痛むけどまだまだ若い!私の床屋のおばさんは多分80歳位だ。おばさんに長生きして貰いたいから常連客であり続ける!
全然、映画レビューになってないなあ。床屋さんはあまりに身近な存在。
試写会に当選して、一足先に鑑賞です。 台湾・台中の、床屋のおかみさ...
試写会に当選して、一足先に鑑賞です。
台湾・台中の、床屋のおかみさん。
昔ながらの店舗で、娘らにはいろいろ言われながら
近所の常連さん…ご年配さんとか、一家三世代とか、娘の元夫とか…と、穏やかに過ごす様子。
あるお客さんが病で来られなくなり、床屋に休みの札を掲げて、遠くの街まで散髪しに行くと。
道中に出会いや事故もありつつ、どうにかたどり着いて、最後の散髪を。
誰もが平等に歳をとってゆく様子、
いい意味で古風、誠実、職人気質、
お達者女子会ではしゃぐ様子…
なんとも味わい深い映像でした。
ロケ地の床屋さんは、台中の街の南東側とのこと。
台中火車站から、徒歩20分前後で、この床屋さん・実在のロケ地に着くでしょうか。
全く私事ですが、8月に夫婦で台湾旅行してきました。
ですが、台中の街では、駅より西側ばかりを見ていて
(第二市場、宮原眼科、逢甲夜市… 名所は西側が多いのですよね、空港も西側ですし)
先に気づけばよかったです。
きっと老後にまた観ると思う
泣く準備はしてみた映画だけど、やっぱ泣い
た。
ものすごく優しい世界。
みんなが優しさを持ち寄って助け合って生きていて、常連さん達の付き合いに至ってはもはや親戚。
彼女の仕事に対しての誠実さは、人付き合いにも表れていて、だからこそ困っている彼女に自然と手を貸してしまう。
美容室で語られる日々の出来事は、その人の人生の1ページ。
老いは待ってくれない、でも必ず誰にでも訪れるもの。その人生を側で見てきて語ってくれる人がいるのは、確かに幸せだなと思った。
子ども達それぞれの再出発も、それが彼らの生き方だからと背中を押してあげる優しさと強さがとても素敵だった。
アフタートークにて。
撮影場所は監督のご実家なのだそう。
とても雰囲気のある素敵なお店だったな。
一階に理髪店をして裏に住まいがあるのを家庭理髪店というのだそうで、いわゆる店舗一体型住宅?ですね。
お店のお客さんを観察しながら育ったそう。
監督は映画を観たらわかるけど、お母さんが大好きなんだろうな、と思いました。
とにかく観終わった後にとても温かい気持ちになれる映画でした。
きっと老後にまた観ると思う。
いわゆる床屋さん
(試写会の類はすべてネタバレ扱い)自然な流れの描写がとても良い。おすすめ。
今年323本目(合計1,415本目/今月(2024年9月度)9本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
夜はこちらの映画をfansvoicejpさまのご厚意でオンライン試写会として参加しました。
ストーリーの展開としては、日本でも昭和のころなら普通にみられた、あるいは今でも地方だとあるのかな…家族経営の散髪屋さんで、来る方をほぼ暗記していて、その方の好みなども暗記していて、いわばその散髪屋さんが(村や町の)コミュニティになっている、といった趣感のあるところが舞台になります。
そんなのんびりとした散髪屋さんに、いつも来ている高齢の男性が来ていないという事態が。どうも、病気で行けなくなったということで、散髪店を「本日公休」にしてまでも、お客さんの「いつものカット」を、今すぐそこでもてなすのがこのお店なのです。
非常に流れがゆっくりな映画で、台湾の地方部における小さな理髪店にありそうなことはたいてい映画内には登場しますが、それ以外の論点がほぼないので(まったくないわけではない)、見やすい映画かなというところです。なお、家族全員が理髪店をやっているわけではありませんが(ネタバレ回避)、お店の看板には「家族理髪」とあったりします。このあたり、日本と台湾だと漢字文化圏による類推が可能な範囲なんですね…。
採点に関しては台湾の理髪店を描くドキュメンタリー映画というタイプにも思え(ただし、架空の散髪屋さんという扱いではあるが)、少なくともどういう解釈をしても映画に娯楽性を求めるならあまりお勧めはできませんが、日本と文化圏が似て、かつ「散髪屋さん」という文化も大半共通している以上は、「癒しの映画」にもなりえましょうし、ぜひコロナ事情でまだ行かない、という方も多い中、「すぐ近くの漢字文化圏」であるところの台湾の事情をみに、この映画を見られるのは良いことではないかな、と思います。
採点に関しては特段気になる点はないのでフルスコアです。
なお、台湾映画という事情から、ある程度の国語力を推測される部分がありますが(翻訳されていない部分がある)、日本の中学3年程度の国語力でしょうし、ほぼ問題になることはないと思います(字幕もとても丁寧)。
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