劇場公開日 2024年11月15日

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「うねりのカメラが撮った、若さのせつなさ」オアシス Tama walkerさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0うねりのカメラが撮った、若さのせつなさ

2024年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

つらい過去の思い出を共有し、今はアウトローの世界に身をおく幼馴染みの男子二人(清水尋也、高杉真宙)と女子一人が、やくざの抗争に巻き込まれ、闘い、逃げる。

ヤクザ映画かと思いきや、青春、友情、恋?みたいな話へと展開し、三人の秘密基地での「ザ・青春」的なひとときがあり、ここからどうするんだ?と思っていると、なんとヤクザ映画に戻っていく。結末は意味不明。最後に運んでくるアレは超ド級の悪趣味としか思えない。

しかし。3人の若者は、凶暴さの裏に、互いへの思いやリアルに息づく思い出を大切にもっている。決して枯れてはいない、みずみずしい思いだ。そして未熟で無鉄砲のくせに、いやだからこそ、救いがたく甘い。だから見ていてせつない。
若さのせつなさを描くのが「青春映画」であるならば、この映画はまさにそうだといえる。上に書いたように、とっちらかってはいるけれど。

それより、カメラ(池田直矢)がいい。もう縦横無尽、好き放題に撮ったのでは?たとえばオープニング、清水尋也が夜の繁華街を歩いていくのを撮り続ける長いカットは、清水の周りをぐるんぐるん周りながら撮ってるような感じ。これで演技続けるの大変だろなと思ってしまったぐらいの、70年代ハードロックのギター(ぐいーーーーん!)みたいなうねりとリズムのある映像だ。役者の表情もしっかり刻印されている。高杉真宙の、すべて諦めた結果妙に明るい、みたいな顔。短時間でも強いインパクトを残した松浦慎一郎、津田寛治の顔。
基本、グロそうな映画は見ないので今回も迷ったが、見てよかった。

Tama walker