「良いフィナーレでした(細かいところはもういいのである)」劇場版ドクターX みかんさんの映画レビュー(感想・評価)
良いフィナーレでした(細かいところはもういいのである)
毎シーズン楽しみに見てきた作品です。
最近は回を重ねるごとに美知子のすごさが突出してしまい、初期と比べるとやや尖り過ぎかなぁと思うこともあったけれど、うまく登場人物を入れ替えつつ、愛着あるメンバーを配することで、長く見ていられる愛すべき作品だったと思います。
映画自体は、相変わらず一瞬前に死にかけた人間がすぐに動き回るところなどは非現実的でしたし、ラスボス的存在もやや物足りず、人間とはあそこまでサイボーグになっても生きていられるものなのかとやや冷めた目で見てしまう部分もありました。
最後の倫理観も、個人的には超えないでほしいところを超えてしまった感じではあります。人工心肺の伏線は普通にヒロトの命を繋ぐのに使えばよかったのに...。あれも医療の発展のため、天秤にかけるなら未来あるほう、ということなのか。作中で高年齢者を切り捨てていき、そこへのフォローもなかっただけに、メッセージをどう受け取るべきか、ややもやもやする部分はありました。
ただ、今回見るべきはそこではなく、出演者やスタッフの皆さんが、この作品と世界観を本気で愛し、大事にしていることが真に感じられる映画になっていた点だと思います。
展開と現実の出来事をリンクさせて見てしまうようなシーンも多く、米倉さんの渾身の演技には号泣してしまいました。
とても素敵な作品でした。
西田敏行さんにも、最期にこの映画を完全な形で遺してくれたことに感謝しかありません。
寂しいですが、この作品はここで締めるのが良いと思っています。
ドクターYはたまには見たい気もしますが、加地先生もそろそろ...あるいは既に還暦ですもんね...。作品世界の中で、あのドタバタがいつまでも続いていくことを祈っています。