劇場公開日 2025年8月22日

「ファンタジー?」蔵のある街 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 ファンタジー?

2025年9月6日
PCから投稿

ファンタジーとしては良作の範疇ながら、映画としては微妙。
倉敷という街を舞台に、コロナ禍に耐える街を応援するために、日本各地の約300の街で開催された「サプライズ花火」という実話を基に、高校生たちが好きな娘との約束と、街を活気づけようと花火大会を企画したというエピソードを乗っけていたんですけれども。

まず一番微妙に思ったのがリアリティライン。
絵本ほど拙くはないが……
様々な部分が常識外れかつ、ふわっと曖昧に「お気もち」重視な感情のみで事態が進むのが、なんかこう……
喩えるなら、ラノベどころか、「なろう系ラブコメ」の、全然もてない童貞男子高校生が、急に美少女に囲まれてハーレムになるくらいのリアリティのなさ。

そもそも倉敷の美観・景観地区は、白壁で有名な木造の蔵が立ち並び、町並保存のために国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されていますから、当然、火災の危険がある打ち上げ花火なんか不可能。
それを、情熱だけで実現した!
という美談仕立てに「実現できました」って映画にして、最後にテロップで「実際は花火の打ち上げはできません」「映画の中だけの夢です」っておい!

それに、こういう実際の街をモデルにしているのであれば、大きな嘘をつくために、細かい部分には真実(リアリティ)を乗せなければ、嘘くささが強すぎて入り込めず、感情がついて行かないのが常。
最後まで、予算がいくらか、誰がどこがそのお金を負担するのか?
などの説明もすっぽ抜け。

だからラノベ以下のリアリティと評したわけで。

もう一つ言えば、企画の発端である「サプライズ花火」の要素が、ドラマ上に一切ないんですよ。
倉敷にはコロナ禍がなかったような世界に描かれていて。

だから、エンドロールで急に「サプライズ花火」と結び付けようとしていたのが、「何の関係があるんですか?」と違和感を感じまくったと。
観ていて「ファンタジーかなこれ?」みたいな印象しか残りませんでした。

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