「風につつまれて」蔵のある街 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
風につつまれて
我が地元が舞台の映画という事で、遥か前に上京していますが倉敷の景色は沁みるな〜美観地区は落ち着くな〜と観ながら思いました。
自分は縁はありませんでしたが水島電鉄ってこんな感じの車両だったんだとか、見慣れた倉敷駅で撮影してたんだな〜と考えると中々に誇らしかったです。
そういう懐かしさに浸って観る分には中々良かったんですが、ストーリーは申し訳ないんですがかなりお粗末で、何故何?と疑問が浮かぶシーンが多く散見されたのがもったいなかったなと思いました。
紅子の家庭環境は中々に複雑で、自閉症を持つ兄を支える妹の構図は良かったんですが、父親が普通に酒飲みカスで嫁の絵にも嫉妬して燃やして〜という一連の流れが意味不明すぎて全然のめり込めなかったです。
母もそのまま逃亡し、娘に全部託すという無策っぷりもなんだかなぁって感じです。
自分が紅子の立場だったらあそこまで献身的には動けないなと感心するのは確かでした。
風船爺さん(橋爪さん)がきっかけで物語は動くのですが、その動かし方がなんとも雑で、風船できょんくんを引き寄せて木の上に登らせて住民の厄介にさせられ、風船に釣られて屋根の上に登って落っこちて意識不明になったりとで、もっとマシなきっかけは無かったんだろうか?と思ってしまいました。
全然美談にならねぇ…。
花火を上げるための映画なので、花火が上がるまでの過程にあれやこれや言うのは野暮だとは思うんですが、会議で散々あーあー言ってた予算問題がサクッと解決したり、市役所の職員が昔のあだ名関連でサクッと花火の打ち上げを許可したり、市役所に大人数でカチコミにいったり、倉敷の人間がおかしく思われるのでは?という描写はゾワゾワしてしまいました。
ただ少年少女が花火を上げるために奔走する流れは一つの青春模様だなと思えてそこは良かったです。
役者陣は中島さんや山時くんはじめフレッシュな面々はとても爽やかで良かったですし、脇を固める前野さんやMEGUMIさんも頼もしかったです。
倉敷を代表するスター・高橋大輔さんもかなり重要な役どころで出演していますが、周りに比べると少し浮いてしまっていたかなと思いました。
でも高橋さんがマシに思えるくらいのとんでもない棒演技(おそらく市民か関係者)がお届けされてしまい、作品の味にはならずに欠点になってしまったなと思いました。
エンドロール後に美観地区では花火は上げられませんでという旨が明記されていたのですが、それ明記しなくても良かったのでは…?となってしまいました。
その一文のせいで疑問は晴れはするものの、映画で紡いだストーリーが無いもののようになってしまったのは残念でした。
地元映画なので期待したのですが、ストーリーはトンチンカンだったかなぁという印象です。
美観地区にはまた立ち寄りたくなったのでそこは良かったかなと改めて。
鑑賞日 8/28
鑑賞時間 18:20〜20:05