2度目のはなればなれのレビュー・感想・評価
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素晴らしい!身にしみるストーリー
予告篇を観ると今年公開のハロルドフライまさかの旅立ちに雰囲気が似ていると
思ったが、ノルマンデイ上陸記念式典に仲間と参加するために老人ホームから抜け出し
まさか90歳で一人でフランスへ行くとは驚いた。これが実話だという。バーニーの熱い思いが、老人ホーム職員、レネに響く。胸にしみた。特にセリフは文句なし。一言セリフを
言うたびに胸がしむる。また、日本語翻訳があの戸田奈津子なのも◎。名優マイケル・ケイン、見事。素晴らしい引退作だった。
シビルウォーと好対照な
先週シビルウォーを見たので、2週連続で戦争をテーマの映画を見たことになります。アプローチは全く異なりますが、どちらも戦争の重さ、虚しさを描いた見応えのある作品でした。
この映画では戦争で生き残った、幸運な人たちにも残る心の傷をとても丁寧に描いていると思いました。
老夫婦のお互いへの思いやり、美しい風景も相まって、とても観賞後の気持ちの良い映画でした。
悲惨な上陸作戦で、敵も味方もどれだけの命が失われたか、そのことに思いを馳せたいとも思いました。
言葉の重さ
クリストファー・ノーラン監督に問いたい
「ダンケルク」の後日譚を思わせるノルマンデー上陸作戦以降70年後も消えることのない各種の後遺症・トラウマをベースにした戦争災禍と戦火を離れた安穏な日常の美しさを老優が見事に回想して行く。
人生の最期まで断捨離しても捨てられない物、それに纏わる記憶が70年も連れ添った夫婦でもそれぞれに違い捨て切れない。
形は取るに足らないつまらない物でも、詩歌、音楽、日の出、イヌバラの押花、プードル…は、
心の奥から、鮮やかに時にその記憶は甦り、消し去ることが出来ない。
そんな記憶を捨て去る勇気出して戦友の墓参のためドーバー海峡を越え、90歳1人旅として、世間では老人ホーム大脱走と騒ぎ出す。
戦争の傷は、
死期直前となり70年前の戦時を超えても戦禍の恐怖をひた隠しする戦争経験者には、被曝敗戦国の日本だけのことではなく、
戦勝国でも英国にもあることが知れ、なおの事、戦争の罪の深さを思い知らされる。
実際、原爆投下国合衆国ではどうなのか?
「オッペンハイマー」では、そんな謙虚さを感じ取れないのはやはり私たちが東洋人だったからか?
この辺をノーラン監督に聞いてみたい。
先日、ノーベル平和賞に日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の受賞したから余計にそう思うのか?
この映画は、本国イギリスでは2023年10月に公開され、
妻役のグレンダ・ジャクソンは同年6月に他界し、これが長編映画の遺作となった。
この映画にて、彼女とは、永遠のはなれ離れになったのだ。合掌
久々に笑いのある紳士な大人の良い映画だった。
( ◠‿◠ )
2度目のはなればなれ
劇場公開日:2024年10月11日 96分
それぞれ2度のオスカー受賞経験を持つイギリスの名優マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンが、「愛と哀しみのエリザベス」以来50年ぶりに共演し、
89歳の退役軍人がノルマンディー上陸作戦70年記念式典に参加するため老人ホームを抜け出した実話を基に描いたヒューマンドラマ。
2014年、夏。
イギリス、ブライトンの老人ホームで暮らす老夫婦バーナード(バーニー)とレネは、互いに寄り添いながら人生最期の日々を過ごしていた。
ある日、バーナードはフランスのノルマンディーへ向かってひとり旅立つが、彼が行方不明だという警察のSNS投稿をきっかけに、世界中で大きなニュースとなってしまう。
バーナードとレネが離ればなれになるのは、今回が人生で2度目だった。
決して離れないと誓っていたバーナードがレネを置いて旅に出たのには、ある理由があった。
監督は「シンクロ・ダンディーズ!」「理想の結婚」のオリバー・パーカー。
本国イギリスでは2023年10月に公開された。
妻役のグレンダ・ジャクソンは同年6月に他界し、これが長編映画の遺作となった。
2度目のはなればなれ
劇場公開日:2024年10月11日 96分
大した爺様と大した婆様
洒落た作品です。50代以上の方にオススメします。
実話を元にしたストーリーという事ですが、品のある老人達の出会いと別れ、過去の決別、様々な想いを冷静に見つめて
描いた感動的な名作でした。
邦画にするとしんみりしてお涙頂戴ものにしてしまう題材をマイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンの二人の名優が
センスある作品にしてくれてます。若い時代の回想シーンもとても見ごたえがあり上映時間は長く感じることはなかったです。
妻の介護と日常でまあまあの忙しさの老人施設から脱走という派手な事件が目を引きますが、
実際は落ち着いてじっくり人生の意味を想い起こすにはお勧めの作品です。
90歳はまだまだ先という方には親の人生を考える時間を作るという意味でも価値はあると思います。
心に余裕のある時にぜひご覧ください。マイケル・ケインの現役最後の出演作です。
人生の重荷を降ろすための旅
「D-デイ」から七十年の節目の2014年6月6日。
『オバマ大統領』や『エリザベス女王』も参列した記念の式典が
フランスのノルマンディーで開催された。
そこに当時九十歳の『バーナード・ジョーダン』が
住んでいた高齢者施設を誰にも告げずに抜け出し参加した、との
実話を基にした一本。
当時の報道を確認すると、本作とはかなりの乖離があるものの、
脚色の妙により、趣きの深い作品に仕上がっている。
『バーナード(マイケル・ケイン)』は妻の『レネ(グレンダ・ジャクソン)』と施設に暮らす。
戦後七十年、片時も離れずに暮らした二人が
別の場所で時間を過ごすのはこれが二度目。
では一度目は何時かと言えば、それは戦中。
彼は英海軍で「ノルマンディー上陸作戦」に従軍していた。
命を賭した激しい戦闘は、その後のPTSDを生む。
銃後の妻とて安穏としてはいられない。
軍需工場で働いているさ中にも、戦死の知らせが届くかもしれず。
ましてや、ノルマンディーはドーバー海峡を挟み指呼の距離。
爆撃の音が聞こえ、閃光が見える場所で夫が闘っている。
そのやるせない想いはいかばかりか。
戦場に立つ当事者にも過酷な運命は待ち受ける。
今の今まで言葉を交わしていた僚友が
次の瞬間には屍に。
生き残った者の心にも、大きな傷跡を残す。
七十年を経ても、最愛の妻にも心情を吐露できないほどの。
主人公が、記念式典出席ツアーへの申し込みを躊躇い、
結果として独りで旅立つことになった訳も
そこにあるのだから。
英国人らしいユーモアに包みながら、
時としてドラマチックに、時として柔らかな視線で
夫婦の愛情と戦争の不毛の二本柱を描く。
フランスへの船上で知り合った、
アフガニスタンからの帰還兵や
やはり第二次大戦に従軍した英兵と心を通わせるエピソードは秀逸。
わけても、慰霊のために同地を訪れていたドイツ兵との遭遇には心が震える。
英米仏軍=善、独軍=悪との、単純な図式ではない。
戦争そのものが孕む大きな不毛を感じさせる。
「Great Escaper」とテレビや新聞を賑わした報道の中身は、
遠く離れた東洋の地に住まう者からすれば
「なにを大げさな」が正直な感想。
が、それほど大きく取り上げられること自体が
「D-デイ」が当地に住む人々にとって強い記憶なのだろう。
品のある映画だった。高評価も納得。
want toではなくhave to
とても美しい映画だった!
老兵健在
戦争経験者との向き合い方
2014年7月に、89歳のイギリス退役軍人バーニーが、フランスで開催のノルマンディー上陸作戦70年記念式典に参加するために高齢者施設を抜け出した騒動を映画化。一度引退表明をし、常連だったクリストファー・ノーランの『オッペンハイマー』出演も断っていたマイケル・ケインが、表明を撤回して臨んだ最後の主演作。
宣伝から受けるイメージから、どうしても妻レネとの夫婦愛に注目されがちだが、本質的に描きたかったのは戦争に関わった者達のトラウマや苦悩との向き合い方にあると思う。実際に戦争に赴いた元兵士の中には当時の記憶を掘り起こしたくなかったり、PTSDに苦しみ続ける人もいる。本作の監督オリヴァー・パーカーの父も、バーニーのように従軍経験があるも、その詳細を語りたがらなかったという。
しかし、そうした第二次大戦を戦った彼らの数は年月を追うごとに減っていく。つまりそれは戦争という過ちを語り継ぐ者も減っていることとイコール。かつては敵だったが、今は同じ苦しみを抱える者もいる。中盤での、そんな彼らとバーニーの邂逅シーンが一番印象的だった。
ケインやレネ役のグレンダ・ジャクソンとの、英国人らしい軽妙な掛け合いも微笑ましい。ジャクソンは本作が遺作に。合掌。
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