「エクストリームさん配信ですがいたって大切なこと。」越境者たち yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
エクストリームさん配信ですがいたって大切なこと。
今年260本目(合計1,352本目/今月(2024年7月度)23本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
(前の作品 「劇場版すとぷり」→この作品「越境者たち」→次の作品「墓泥棒と失われた女神」)
…ということでシネマートに移動して2連続。
シネマートさん、シアター1の後ろ側の列の冷房調整お願いします~(むちゃくちゃ寒かった…)。
この映画、ここにも書いてある通り、「あの」エクストリームさん配給です。別にそれがダメだっていうわけではないですが、ここでは「いい意味で」この会社さんの配給の映画はネタ映画という認識で見に行く方が多いのではと思います。一方、見に行くまで公式サイト等で問題提起型の映画(移民問題ほか)であることは分かったので、なんでエクストリームさんなんだろう?と思いつつも始まるとでかでかと「エクストリーム」の表示に続いて、あの旋律が謎の「CANAL+」の表示。フランス映画なんですね。
映画はホラー・スリラー系統とされているようですが、映画のタイトルにもある通り、トルコ(アフガニスタンだっけ?)からきた女性が、いかにイタリア・フランスの国境を越えて難民として入っていくか、という部分に焦点があたります。この点、ヨーロッパのこれを扱う映画では時々見る類型ですね。
この映画の主人公(越境を試みる女性)は「アフガニスタン出身」くらいのこと以外話さず、おそらく広義の意味でのクルド人迫害問題、あるいは、イスラム教国に程度の差はあっても存在する女性軽視の考え方から脱するための難民なのだろう、ということは一般的知識があれば推知が可能で、ストーリーはわかりやすいです。一方、イタリア、フランスは難民申請はある程度緩やかですが、「勝手に入ってくる」ことに関してはかなり厳しいです(なお、この点で一番難民政策で緩やかなのはドイツ)。映画の趣旨的にどうもこの女性、アフガニスタンかトルコか出身であるところ、ギリシャを出発点としていることから、その地理関係から、イタリア/フランスの山脈地帯での難民としての(違法)侵入がテーマとなっています。
この点をスリラー・ホラーという観点で描いた点自体は理解できるのですが、ヨーロッパにおいてはこのトルコ等の難民(純粋にクルド人問題のこともあれば、イスラム教国の女性軽視にあきれた人たちが逃げ出す類型もある)についての説明がまるでないので、ちょっとどうかな…といったところで、明確に説明不足な気がします(しかもパンフレットなんていうものはない)。
ただ、述べたいこと自体(こうした難民がいることを前提として、先進国はいかなる立場を取るべきか、ということ)は理解できますので、減点なしの扱いにしています(というより、エクストリームさん配給でこんな「大真面目」な映画だったので、「配給表示(権利関係の表示)間違ってるんかな」って思ったくらいです)。