劇場公開日 2024年8月23日

「ひと粒で2度、いや3度おいしい」ポライト・ソサエティ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ひと粒で2度、いや3度おいしい

2024年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

既に多くの人々によって消費され尽くしているジャンルやテーマであっても、何かと何かを掛け合わせることで、全く新しい価値が生まれることもあるーーーと頭では理解できても、その”何か”を見つけるのは難しい。しかしパキスタン系イギリス人、ニダ・マンズール監督が放つ本作は、やや既視感はありつつも、かつてのジェーン・オースティン的な状況を現代英国に生きるムスリム一家の女性たちの身に置き換えたかのような、新たな時代の声をヴィヴィッドに伝える良作に仕上がった。その抑圧と新風の起爆剤となるのが主人公の抱える「スタント仕事に就きたい!」というたぎる様な願望、渇望、希求に他ならない。この青春映画お決まりの足元がしっかりしているので、意外なほど息切れせず、最後まで魅力が落ちない。アクションやカンフー面に過度な期待しすぎるとやや物足りなさが残るものの、軽い気持ちで臨む分には目と心を十分に沸き立たせてくれる一作である。

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牛津厚信