デリヴァランス 悪霊の家のレビュー・感想・評価
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天にまします我らの父よ
悪魔憑きモノはいまいちリアルじゃなくて引いて見ている。ミッションスクール卒なのでキリスト教については理解しているが「主はいつもあなたと共に」と言う割には追い詰められ最後の最後じゃないと助けてくれないのは何故?
と言うかアフリカ文化かぶれの白人祖母の虐待が原因でアル中になった母親の妄想ではないのか。
成人男性が出て来ず女性同士の繋がりを描いたのと
アフリカ系の貧困家庭による悪魔ものというのは新鮮でよかった。ただ悪魔祓いの儀式はありきたりな描写が多くスンッとしてしまう。ペースとなる実際の事件でも子供が後ろ向きに壁を登ったらしいけど、そういう症状に該当する神経疾患があったような…。
そしてラスト。家(場所)の問題なの?取り壊した後に新しい家を建てたらまた同じことが起こるの?いや神様は何してるの?
ある意味新ジャンル「人種差別ホラー」の延長線上にあると思う
いわゆる悪魔払い・またはホーンテッドマンション系のホラー。ただし本作の主人公たちは裕福な白人家庭ではなく、貧しい黒人の貧困家庭。シングルマザーのエボニーが3人の子供と癌をわずらっている白人の母親を養っている。エクソシズムではなくデリヴァランスと言っているのは、悪魔払いをする聖職者がプロテスタント系のペンコステ派の牧師だからのようです(エクソシズムはカトリックの神父が行う)。
常々不思議に思うのだが、アメリカは比較的新しい国とは言え、200数十年の歴史の間に人種的なミックスがかなり進んで、純粋なアフリカ系黒人も、純粋なヨーロッパ系白人もほとんどいないはずなのに、なぜか黒人コミュニティと白人コミュニティ、そしてそれ以外のヒスパニックやアジア人コミュニティとかなりはっきり分かれている。
本作ではグレン・クローズが演じる黒人好きな白人のおばあちゃんが登場するが、おそらく何十年も黒人コミュニティの中で暮らしているはずなのに、黒人の隣人たちには冷ややかな対応をされ、血を分けた実の娘にさえ、肌の色で嫌味を言われる。何が差別を再生産し維持しているのか非常に興味深いし、同時に暗澹たる気分になる。きっとこの物語の主人公は白人の子ということで言われのない差別・いじめを受けてきたであろうことは想像に難くない。
アメリカは自由の国ではあるが、商業映画の世界では自ずと表現が制限される。70年代に作られたゾンビ映画はベトナム戦争の反戦映画としての側面を持っていた。本作はホラー映画としては小品の部類に入ると思うが、現代アメリカ社会の暗い断片が垣間見れると言う意味で貴重な作品だと思う。
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