ゴヨのレビュー・感想・評価
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大きなストーリーはない
映画『ゴヨ』は、壮大な物語を追うわけではない。
むしろ、物語の中心には「大きなストーリー」は存在しないかのようだ。
しかし、主人公ゴヨにとって、それは極めて重要な出来事であり、
日常の中に潜む感情の波を描くことで、
観客の心に強く訴えかけてくる。
ゴヨの内面を静かに、
そして深く掘り下げるこの作品は、
彼の個人的な世界がどれほど深遠で感動的であるかを、
繊細に描いている。
本作の魅力のひとつは、
シナリオの行間を捉えるカメラワークと、
セリフの間(ま)を充分に取る演出にある。
映像と音のバランス、
特にセリフとセリフの間の取り方に独特のリズムがあり、
登場人物たちの感情が細やかに伝わってくる。
セリフに頼るのではなく、
間の取り方やカメラワークを通じて、
人物の内面的な変化や心の揺れを視覚的に表現している。
これが、登場人物一人一人に与えられた細やかな深みを生み出し、
見る者を引き込む。
ゴヨの感情に寄り添いながら、
物語は静かに、そして少しずつ進んでいく。
映画の全体的なトーンは穏やかで控えめだが、
感情の起伏は決して無視されない。
ゴヨの内面を映し出す演出、芝居、カメラワークは、
感情の動きに寄り添いながら高い技術を感じさせる。
特に、些細な日常の中に漂う空気感を映し出す手腕は素晴らしく、
シンプルでありながらもその静けさが強烈な印象を残す。
この技術の高さを具体的に挙げると、
レモンのアイスクリームを食べるシーンや、
ピントが合っていないエキストラとして登場するピエロのラッパなど、
どれも一見些細に見える描写が、
ゴヨという人物の魅力を積み重ねていく。
これらのディテールは、
ゴヨが愛される理由を視覚的に示唆するものであり、
観客に深い感情的な影響を与える。
カット割りのセンス、
そしてカメラが意図的に狙いを定めることで、
観客は自然とゴヨの心情に寄り添い、
彼の微細な変化に気づくことができる。
彼がエバに惹かれる理由は明確には語られないが、
エバがゴッホの絵に描かれる「クロムイエロー」に似た光を放つように見える描写には、
独特の美しさがあり、
ゴヨの感情がそのまま視覚的に現れる瞬間を捉えている。
実母、姉、そしてスイミングクラブでの仲間との関係も、
各々が抱える複雑な気持ちを巧妙に、
過剰に説明することなく、視覚的・感覚的に示すことに成功している。
『ゴヨ』は、日常の些細な出来事の中に普遍的な人間ドラマを見出す作品であり、
物語の中に存在する感情の機微を鋭敏に捉えた作品である。
細やかな演出と技術によって、
日常の何気ない瞬間が持つ深い意味を引き出し、
観客を心の奥底で揺さぶる。
アルゼンチンの男目線な日本映画。
アルゼンチンの男目線な日本映画。
残念だけれど「どうせ、悲惨な事になるわ」が事実。
髭面ばかりいる南米のアルゼンチンでも、こんな女性はいない。
愛の無いAIに聞くと、この演出家にアスペルガーの近親者はいない。
つまり、作られた不幸を男目線で片付けようとしている。
実の母親と姉よりも髭面の兄貴が一番懸命とは情けない。
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