「【"安定に甘んじず、進化する「犯罪都市シリーズ」”今作は情に厚く、絶対に銃に頼らないマ刑事の黄金の右フックは今作でも健在であり、極悪なIT犯罪組織をスピーディに壊滅していく様が爽快である作品である。】」犯罪都市 PUNISHMENT NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"安定に甘んじず、進化する「犯罪都市シリーズ」”今作は情に厚く、絶対に銃に頼らないマ刑事の黄金の右フックは今作でも健在であり、極悪なIT犯罪組織をスピーディに壊滅していく様が爽快である作品である。】
ー ご存じの通り、マ・ソクト刑事を演じるマ・ドンソク氏は「新感染 ファイナルエクスプレス」でスターダムに一気に上がる前は、長年端役で苦労をして来た方である。
故に、私はマ・ドンソク氏は絶対に良い漢だと勝手に思っている。そして、常にエンターテインメント作品である”犯罪都市シリーズ”は第4作に当たる今作でも、常に安定の面白さをキープしつつも、進化しているのである。ー
■マ・ソクト刑事と広域捜査隊は、アプリを悪用した麻薬密売事件を捜査していた。事件の調査が進む中、アプリ開発者が不審死していた事が判明し、その背後にフィリピンに拠点を置く国際IT犯罪組織の存在が明らかになる。
最序盤、フィリピンの路上を逃げる男と追う男達のチェイスシーンから始まる。逃げる男は韓国の違法オンラインカジノの運営を強制されていた一人であり、その男を無慈悲に殺す端正な顔をした元傭兵のチャンギ(キム・ムヨル)の存在感がインパクトがある。
男の母は、韓国に送られて来た息子の死体を見て、”息子を殺した男を罰してください”と言うメモを残して自害する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・物語は安定しながら、クスクス笑いと壮絶な戦闘シーンが絶妙に織り交ぜられて展開する。今作のお笑いMVPは矢張りパク・ジファン演じるおまぬけ男チャン・イスである。
チャン・イスとマ刑事の可笑しき遣り取りに、おばさま達はきゃあきゃあ笑っている。私は、”アクション映画を観に来ているんだよな。”と思いつつもそれが楽しいのである。
”笑いの起こる、アクション映画” マ・ドンソク主演映画の黄金律である。
・今作では、極悪な元傭兵のチャンギを演じるクールなキム・ムヨルの存在や、どちらかと言うとアナログ感が強かった前作と比べ、今作ではデジタル感も巧く取り入れている所も良い。
・マ刑事の行きつけの焼き肉屋が、殉職した先輩の奥さんが営む店で、彼は必ず自分のチームを引き連れて行き、健気に店を手伝う小さな女の子には必ず”お母さんには内緒だよ。”と言ってお小遣いをさり気無く上げるシーンをキチンと入れ込んでいるのも良いのだなあ。
・マ刑事達が、何度も犯人チームを取り逃がし、捜査を昇格した次長に外されそうになる時も、マ刑事はお偉方の会議の場に乗り込んで頭を下げつつ、次長に対してはビシッと”人が変わったな。”という姿や、その姿を見てトップが”味のある刑事だね。”というシーンも良かったな。
■そして、執念の捜査の末にマニラに逃げようとする元傭兵のチャンギと仲間を追って、発進直前の飛行機を止めて機内に乗り込み、ファーストクラスで寛いでいるチャンギたちとの闘いは見応え充分である。
”俺は、刑事だから手加減しながら殴って来たが(ホントかよ!!)お前は違う!”と言ってグラブを嵌めて、素手で追い詰めていく姿。チャンギの素早いナイフ裁きを交わしながら、物凄く重そうな左右フックを繰り出し倒す姿は、実に爽快であったなあ。
<ラストも、キチンとおまぬけ男チャン・イス笑いのシーンを収めつつ、キチンとマ刑事は自死した母の墓詣でを仲間達と行うのである。沁みるなあ。
今作は安定した面白さを誇る「犯罪都市シリーズ」がエンターテインメントの必須要素である”喜怒哀楽”をキチンと盛り込み、更に進化する様を確認できる作品なのである。>
「常に安定の面白さをキープしつつも、進化している」と言うNOBUさんの言葉を、マブリーのあのガタイを思い浮かべながら読むと、本当に力強く、そう感じてしまいますね。
捻りとか笑いとか、繰り返しているようで、それだけじゃなくて、観る側へのサービスにも溢れていると思います。