「恍惚でも自己陶酔でもない。優しくあたたかい、皆に開かれたボレロ」パリのちいさなオーケストラ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
恍惚でも自己陶酔でもない。優しくあたたかい、皆に開かれたボレロ
実話とは!チェリビダッケとあったから実話に基づいているのかな程度にしか思っていなかったので驚いた。双子の姉妹に音楽を習わせる父親、苦労もあったろうに素晴らしい。姉妹で励まし合い練習して、自分達と同じ境遇の仲間がいる音楽院があって、そしてマエストロに出会ったのはひとえにザイア姉妹の努力と音楽愛と才能だ。最低でも一日3時間の練習を毎日毎日、加えて指揮者は譜面の勉強と暗記が欠かせない。どんな人がこんな職業につけるんだろう?
チェリビダッケの言葉の一つ一つが本当に彼が言いそうなもので彼の外見含めて似ていて説得力があった。音楽愛の環境もなく才能もなく努力が続かない自分にとっては、色んな過去を思い出して悲しい気持ちでいっぱいになってしまって少し辛かった。
クラシック音楽はゆっくり解放されてきていても、日本の伝統音楽では女性はいまだに排除され過ぎている。目が見慣れていないだけだと思う。映画「TAR」でもあったように、コンクールもオーディションも姿を隠してやるようにして少しでもオープンに風通しよくしてほしい。
おまけ
熊本のミニシアター"Denkikan"で見た。こんないいミニシアターがあるのが羨ましい。映画が終わって客電がつくまでの間合いと灯りが完全につくまでのディマーの調整が好みで完璧だった。働いている人(素敵なワンピースを着てらした)との挨拶コミュニケーションもあった。シネコンはどこも同じ作りでベルトコンベアーみたいで味気がないと気がついた。
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