「希望という名の欲望」劇場版ACMA:GAME アクマゲーム 最後の鍵 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5希望という名の欲望

2024年10月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

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原作未読ながらテレビドラマ「ACMA:GAME アクマゲーム」を観ていてたので、乗りかかった船ということで公開2日目の昼頃の上映回で鑑賞してきました。行きつけの劇場の全18スクリーン中最大の360人キャパのハコが割り当てられていましたが、観客はわずか3人!爆死を予感させる雰囲気に悪魔以上の恐怖を感じつつ鑑賞スタートです。

ストーリーは、99本集めるとこの世の全てを手に入れられるという“悪魔のカギ”を巡る人間たちが繰り広げるデスゲーム「アクマゲーム」に終止符を打つべく、全てのカギを集めて破壊するために世界中を旅していた織田照朝が、これまでのアクマゲームを通して得た仲間たちと協力して、カルト教団の黒田兄妹や父の仇・崩心との戦いに挑むというもの。

鑑賞後の率直な感想としては、テレビドラマから持ち越されていた物語の結末を見届けたという満足感は得られます。醜い欲望から生まれる愚かであさましい人間の行動を、悪魔たちが高みから眺めて嘲笑うという構図は、やはりおもしろいです。懐かしいところでは「DEATH NOTE」にも通じるものがあり、人知を超えた力をめぐって人間の本性が露わになるという点もよく似ています。

その中で本作が、悪魔の力を私利私欲に使うのか、世界や人類のために使うのか、またその使い方として人類滅亡か救済のどちらを選択するのか等、それぞれの抱く正義や大義が大きく異なることをテーマとして掲げている点も悪くないです。主人公の照朝に感化された仲間が集い、互いを信じて最後まで人間を諦めない姿には熱いものがあります。人間の可能性を信じ続けたいというそんな思いを指して、「希望という名の欲望」とする言葉が印象的です。

ただ、本作の最大のポイントである絶大な“悪魔の力”を、映像で感じさせるものがないのはひたすら残念です。鍵がそろわないから発動しないと言えばそれまでですが、人類滅亡の脅威や恐怖が伝わってこないのは物足りないです。劇場版になってそのあたりの迫力が増すかと思いきや、それほどでもなかったです。一応、東南アジアあたりでのロケは行われていたようですが、ワールドワイドな広がりを感じさせるまでには至っていない気がします。新種の悪魔も登場するものの、冒頭でのチラ見せ程度で、ストーリーに深く絡んでこないのももったいないです。新キャラの教祖兄妹も、カルト教団そのものに大きな力を感じないので、その設定があまり生きてないような気がします。

とはいえ、細かい点を除けばストーリーは概ね理解できますし、アクマゲームそのものはストーリーに関係なく楽しめますので、興味のある方は劇場でご覧ください。まあ、劇場でしか味わえないほどの映像美があるわけでもないので、そこまで興味がなければ配信を待ってもいいかもしれません。

主演は間宮祥太朗さんで、照朝を熱演しています。他に、田中樹さん、古川琴音さん、竜星涼さん、嵐莉菜さん、小澤征悦さん、橋下じゅんさんらテレビドラマキャストに加え、金子ノブアキさん、志田未来さんらが脇を固めます。中でも、クライマックスで魅せる金子ノブアキさんの演技が涙を誘います。

おじゃる