「退屈なクリスマス」あの年のクリスマス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
退屈なクリスマス
『フォー・ウェディング』『ノッティングヒルの恋人』の脚本、『ラブ・アクチュアリー』『アバウト・タイム』の監督。
映画ファンに愛される良質作を数々手掛けるリチャード・カーティス。
彼が書いた児童書を、自身初のアニメ映画として映像化。
12月23日~26日。クリスマス・シーズンのイギリスの町、ウェリントン。
降り始めた雪は想定外の吹雪と積雪に。
サンタは身動き取れず、大遅刻。
パーティーに出掛けた親たちは立ち往生。
子供たちだけでクリスマスの準備をするが…。
サンタ、親たち、子供たち。ある年のクリスマスの出来事。
とりわけ子供たちがメイン。
クリスマスに父親が帰って来ず、母親も仕事の男の子。
クリスマスの準備に奮闘の双子姉妹。
斬新な演劇をやろうとする演劇部の部長。
クリスマス、群像劇スタイル、少年少女の初々しい恋模様もあって、『ラブ・アクチュアリー』を彷彿。
しかし、『ラブ・アクチュアリー』のような作品を期待しない方がいい。根本的に全く別物だし、作品自体も…。
エピソードの一つ一つも、キャラも、ユーモアや魅力も何もかも、本当に数々の名作群を手掛けたカーティスの作品かと思うほど、求心力に乏しい。
サンタが登場してもっとファンタジーな内容かと思ったら、そうでもなく。
ロマンチックなラブストーリーではなく、家族や友人や様々な人間関係なのはいい。が、秀でたものはなく、あくまで普遍的なドラマやメッセージを描いているのだろうが、それが平凡過ぎて。
唯一良かったのは男の子と厳格先生の交流くらいで、後は…。ズバリ、退屈であった。
なのに、見た後はまんざらでもないハートフルさ。
クリスマスの魔法に掛かると、不思議と“特別”に感じてしまう。
だが、“特別”なクリスマス映画にはならなかった。