「ティム・バートン リターンズ」ビートルジュース ビートルジュース 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ティム・バートン リターンズ
ティム・バートンの新作も何だかお久し振り。実際、コロナ前の2019年の実写版『ダンボ』以来。
あれが失敗し、良好関係だったディズニーと決別し、映画と距離を置いた感が…。
Netflixの配信ドラマ『ウェンズデー』でらしさを見せてくれたが、このまま映画からフェイドアウトしてしまうのか…?
バートンは大好きな監督の一人。暫く映画の新作は見れないのか…?
そしたら、映画の世界に戻ってきてくれた。しかも、36年ぶりのアイツと共に…!
バートンの長いキャリアの中で続編を自ら監督するのは、『バットマン リターンズ』と本作だけ。
それほどの愛着。本当に楽しく作った感じが伝わってきて、見てて微笑ましかった。
奇妙で、ハチャメチャで、ほっこりもあって、愛おしい。バートン・ワールドが帰ってきた。
ダニー・エルフマンの軽快な音楽に乗って、ミニチュア風町の俯瞰映像。
『トップガン マーヴェリック』もそうだが、久し振りの続編が前作と同じ風に始まるって、いいよね。
あれから36年経ち…。
孤独で風変わりだったリディアは何と、オカルトTV番組にも出ている有名人に。
ウィノナ・ライダーを劇場大スクリーンやメジャー大作で見るのも久し振り。2000年代に入ってから、キャリア低迷やスキャンダルと色々ありました…。
継母デリアとは今は良好な関係。『ホーム・アローン』のママが有名なキャサリン・オハラも今回カムバック。彼女こそ本当にお久し振り…?
実父チャールズは飛行機事故で死亡(正確には飛行機が海に落ちてサメに食われて)。キャサリン・オハラはカムバックしたのに、何故ジェフリー・ジョーンズは…? Wikipediaで調べたら、そんなスキャンダルあったのね…。でも、ブッ飛びな姿でちゃんと出演している。
葬式を行う為、リディアはデリアと娘アストリッドと共にあの家に戻る。
リディアに娘が…! でも、母娘仲はよろしくなく…。
この母親にしてこの娘。根暗で、学校で変人としてからかわれているアストリッド。
前作のリディアのポジションを、続編では娘が。前作ではウィノナ・ライダーが可愛かったが、今回はジェナ・オルテガが…萌ェ~。
『X/エックス』『スクリーム』新作、そして『ウェンズデー』と、ハリウッドの若手女優の中で、今個人的に“推しの子”なのがジェナ。今回彼女が出演するのも本作が見たかった要因の一つである。
『ウェンズデー』を彷彿させる陰のある感じ。ナチュラルさとキュートな魅力。
自転車で町中を行くシーンはジェナのPVではないか!
終盤の“キューリー婦人風ドレス”もいいが、中盤のボロセーター姿も。ただのボロではなくそういうデザインで、何かセンスあってお洒落だった。
おっと、ジェナについてはここまでにして、本筋に。
…何処からだったっけ?
あの家。今は町人から、丘の上の“ゴーストハウス”と呼ばれている。
屋根裏にはかつての名残も。アダムが作った町のミニチュア模型。残念ながら今回、アレック・ボールドウィンとジーナ・デイヴィスはカメオでも出演ナシ。(アレックは例の事件。あれから36年、問題起こしたキャストがやたらと…)
ミニチュアには“アイツ”の墓も。
この家に戻ってから、時折“アイツ”を見る。
セラピーにも通って克服した筈なのに~!
さあ皆さん、長らくお待たせしました。いよいよ登場です。
ビートル…おっと、名前を呼んじゃダメ。3回続けて呼ぶのは絶対ダメ!
今もあの世で人間怖がらせ屋。でも今回は部下もいて、ちょっと出世した…?
かつてリディアに結婚を迫るも、破談(?)に。霊界新聞で今のリディアを知り、再び目論む…!
昨年は『ザ・フラッシュ』で31年ぶりにバットマンにカムバックしたマイケル・キートンだが、自身のカムバック記録更新。ブランクを感じさせないハイテンションノリノリ怪演は感激もの。
ジュースは永遠に自由ッス。
再び追う側だが、今回追われる側でもある。
元妻ドロレスが復活。相手の魂を吸い取るヤベー女。
出会いと別れは劇中のサイレント映画風回想シーンにて。あの世のあちこちで事件を起こして(ダニー・デヴィートをさらに縮めて)、元夫を執拗に追う。
復活シーンのユニークさと、モニカ・ベルッチの妖艶インパクト。
生前映画俳優だったあの世の刑事にもマークされる。ウィレム・デフォーが大根役者ぶりを発揮して笑わせる。
モニカもデフォーもバートン作品初ながら、新たな常連になりそう。
前作ではちと淡白だったドラマ部分だが、今回はなかなか充実。
性懲りもないアイツの野望。元妻が追う。刑事が追う。
リディア、アストリッド、デリアの三世代の母娘。
リディアは仕事のパートナーで恋人でもあるローリーからプロポーズされる。あ、勿論、胡散臭い奴。
アストリッドはジェレミーという青年と知り合い、いい雰囲気に。ハロウィンも一緒に過ごす約束を。
しかしこのジェレミーが…。二段構えの秘密があり、ネタバレNG。
このジェレミー絡みでアストリッドはあの世へ。大ピンチに…!
娘を救う為、リディアはアイツに助けを。結婚を条件に。
生者が侵入した事で、あの世は大混乱。現世にも死者が現れ…。
リディアは娘を救えるのか…?
アイツは今度こそリディアと結婚してしまうのか…?
他にもアストリッドがあの世で再会したのは…。サブだけどさりげないエピソードで良かった。
ついでに、不本意ながらも死んでしまったデリアもあの世で夫と再会は…?
話はボリューム感増したが、基本はハチャメチャドタバタ劇。
話が巧みに交錯して…って訳じゃなく、あっちでこっちで大騒動。正直、元妻は必要あったのかな…?
今回も話云々より、この世界観や作風こそ見もの。
CGも使われているが、アナログ重視。奇抜なメイク、トリックアートみたいな美術。
現世よりあの世の方がポップで愉快なのがバートンらしい。
今回も登場。あの世の砂漠の大蛇は同じくストップモーションアニメ特撮で。あぁ、バートンだ…。
今回『バナナ・ボート』は踊らないが、終盤ミュージカルも。三谷よ、こうやるんだ。
奇妙とユーモアたっぷり。ブラックな笑いや風刺やちょいグロもまぶして。最後はほっこり家族愛も。
これぞ見たかった純度100%のバートン・ワールド。もう一度言おう。ティム・バートンが帰ってきた。
そのバートン・ワールド。
キートン、ウィノナらの健在ぶり。
ジェナを劇場大スクリーンで初めて堪能。
サブキャラもキモカワ。部下のボブにベイビージュース!
味方にすると意外と頼りになるアイツだが、最後はやっぱり生粋のトラブルメーカー!
作品も愉快で、とにかく終始楽しかった。
バートンのBESTではないけれど(ちなみに個人的にバートンBEST級は『エド・ウッド』『スウィーニー・トッド』『ビッグ・フィッシュ』『シザーハンズ』…選びきれないや)、やっぱつくづく、バートン作品が好きなんだなぁ…。
これからのハロウィン・シーズンにもぴったり。
今年のハロウィン、愉快にハチャメチャ楽しみたいなら、さあアイツの名前を呼ぼう。
ビートルジュース!ビートルジュース!