「貧困は思考力を奪う?」悪い夏 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)
貧困は思考力を奪う?
ジリジリと音が聞こえそうな真夏の日差しと蝉の声。
人々を苛立たせる気温が感じられる風景の中で、なんだか救いようのない人々が右往左往します。
途中でなんとなくオチが分かってしまった部分もありますが
とにかく人間の愚かさと醜さを残酷に描ききった作品でした。
望んで貧困に陥ったわけではないにせよ、場当たり的な行動を繰り返す人々は貧困に思考力を奪われているとしか思えません。
程度の差はあれど、とびっきりのクズからなんとなく哀れに思われる人物まで、ただの一人も真っ当な人間が出てこないストーリーは襲来した台風の夜にクライマックスを迎えます。
刹那的にしか見えない登場人物たちの生き方にも、もしかしたら一抹の真実があったのかもしれないと思わせる結末でした。
ところで男の子とその母親。
彼らが物語の中で担っていた役割って何だったのでしょうか?
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バウンスさんのコメント
2025年7月22日
さとうきびさん素晴らしい!まさに
この映画および原作で作者が描きたかったことはそれなんですよね。つまりは「貧しさの構造の中で産み出される闇の影響で人間の善悪の認識や尊厳が壊われていく現実(の描写)」なんですよね。その事を実感して受け取れている方があまり他にいらっしゃらなかったので嬉しくてコメントさせていただきました。