「苦いけど美味いゴーヤチャンプル映画」悪い夏 ひみあさんの映画レビュー(感想・評価)
苦いけど美味いゴーヤチャンプル映画
終盤の展開で「えっ、そうくる⁈」と声を上げたくなる後味が残るラストに、つい最初から見返したくなるほど。
今回初見の役者が多いが、とにかく全員上手い。
彼らが演じるキャラクターは「皆んなクズ」──それなのに気付けば一周回って妙に魅力的に映る。
佐々木(北村匠海)──子どもを盾にシングルマザーの家に通い詰めるクズ。特徴的な三白眼がこのケースワーカー役にどハマり。気持ちはわかるので応援はしたくなる。
愛美(河合優実)──天性の色気で男にタカって惰性で生きるクズ。眼の演技が秀逸。佇まいだけで魅力的。
宮田(伊藤万理華)──正義感強めでクズ男に一途なクズ。口元の演技で歪んだ性格を表現。
金本(窪田正孝)──典型的な反社クズ。文句なしに上手い。時折り吐く知的なセリフには妙に納得。莉華への愛も感じられ、アニキ金本的な優しさも⁈
佳澄(木南晴夏)──貧乏に喘ぎ万引きを繰り返すクズ。なりきりぶりが凄い。目元の役作りに感服。息子のために一生懸命に生きてるので一番同情されるキャラ。情弱なだけ。
事前情報ゼロで「気楽に見るつもり」が気付けばグイグイ引き込まれ。監督の他作品も観たくなる…。
社会の闇と人間のおぞましさと、笑いすら誘う独特のバックグラウンド。見た目は悪い…でもクセになる──ゴーヤチャンプルみたいな作品。
P.S.ケースワーカーが単独で家に上がるのは危険では?実際はどうなんでしょう?
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