「「なるほど、こういう話か」で終わらない」悪い夏 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
「なるほど、こういう話か」で終わらない
伊藤万理華の先輩女子いいね。惚れる。
これまで観た伊藤万理華の役って綺麗め要素が控えめだったから、特に良かった。
単純な話なのかなって観てると、一筋縄でいかないようによれるね。
そこのよらし方がうまい。
窪田正孝と比べて、竹原ピストルはアホなんだけど、懸命に考えて儲けようとするんだよね。そこが危うい。
河合優実と北村匠海は互いに本当に好きになった設定なんだけど、これも危ういよね。
童貞がうまいこと誘惑された感は否めない。
でも、そうであっても、本当に好きならいいよね。
互いに好きだからいいかなと思ってると、窪田正孝再登場で、キッチリはめられてしまう。
それで生活保護受給をバンバン決めてくんだけど、これ、この役所も問題でしょ。
そんな簡単に受給が決められてたら「なにかある」と疑わないと。
この作品はテーマに生活保護が設定されてるんだよね。
やり取りのなかで「知り合いで援助できる方がいらっしゃったら、そちらを優先して」っていうのが結構でてくる。北村匠海は「息子さんいたんで、申請を取り下げさせました」って言ってて「やるじゃん」と伊藤万理華に誉められたりしてんの。
でも生活保護って、稼いでいる家族がいても支給されるものだよね。
自助・共助・公助で、「共助があるんなら公助つかうなよ」って役所が言ってるんだけど、それ、どうなの?
そんなことを思いながらストーリーに戻ると、窪田正孝が北村匠海をハメたときに「どんな商売でも客に手を出すのは御法度」って言うんだけど、これ、本当にそうだなと思った。
毎熊克哉も北村匠海も御法度なのにやっちゃうんだよね。だからきついツケを払わされるのは、しょうがない。
いろいろあって破滅的なラストに向かうときは、むしろ、「窪田正孝、この状況をなんとかまとめてよ」と思ったな。この異常な状況で正気を保ってんのは窪田正孝だけなんだよね。異常な暴走より、正常な悪の方が安心できるって、もうほんとダメな状況だな。
よせ玉でみんな集まってくるの面白いよね。「入江悠なのか?」っていうドタバタ感。
でも入江悠よりうまくまとめるね。
伊藤万理華も動機が不純ってことになったけど、それ、いるかな。みんなどっか悪い奴じゃんってことにしたかったのかな。
ラスト、北村匠海はホームに戻り、まあ幸せそうで良かったね。つまらない公務員生活を送り続けるより良かったんじゃない。罪は他の人がかぶってくれる顛末になったみたいだし。
よせ玉のあたりの盛り上がりとか、コメディに寄せたら、楽しくエンディングにいけそうな話でもあったんだよね。しかし、それを暗いペースでまとめるのが、城定監督のテイストだなと思いました。