「城定監督!もっと上手くやれたでしょ?」悪い夏 ケージさんの映画レビュー(感想・評価)
城定監督!もっと上手くやれたでしょ?
貧困、不正受給、全員悪人…もっと陰惨にすべきところだが、城定秀夫監督の良い意味での軽さが裏目にでている。
チャンス大城を起用してる時点で違うと思う。
ただそこは河合優実がどっぷり陰惨な部分を引き受け、この作品をしっかり成立させるのはサスガ(ちょっと同じような役が続いてるのが心配)
佐々木と愛美の繊細な希望をもった関係性にクズたちの悪が侵食していくさまがスリリングに描かれ、そして大クライマックス。
この展開に不満はないが、伊藤万理華の仕掛けなどが不発に終わり、ただゴチャゴチャやってるだけで盛り上がらない。
このカオスの中で佐々木と愛美の壊された感情の爆発と残された希望を描いて欲しかった。
子供に対する気持ちは見えても、佐々木と愛美の互いへの気持ちが見えない。
佐々木は身を挺して愛美と娘を逃さないといけないし、娘は佐々木を置いて逃げることに抵抗して母の手を引かなければならない、そして愛美は意を決して佐々木を助けに踵を返さなければならない。
そして痛快に金本に一撃を食らわせ、何なら佐々木に手を差し伸べ、佐々木と愛美と娘の3人で雨の中を走っていくぐらいのベタでよかったと思う。
もう一つの軸である木南晴夏の親子もラスト前にすれ違うのは伊藤万理華ではなく、北村匠海でないと意味がないと感じる。
勿体ないよ、城定監督!
三池崇史化しないか心配だ。
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