「ラストに向かう展開が秀逸」悪い夏 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストに向かう展開が秀逸
社会的な貧困問題をベースに
ケースワーカー佐々木(北村匠海)と
生活保護受給者 愛美(河合優実)を主人公として
物語を展開。
設定としてはよくあるし、
どちらの立場から思いを馳せてもいたたまれなくなるが、
そこに裏社会の金本(窪田正孝)を絡ませることで
クライムサスペンスに。
真面目なケースワーカー佐々木が壊れていく様は
そのギャップが良かったし、
普段から抑えていた佐々木の内面が爆発するところに
リアルさを感じた。
佐々木に純粋な好意を寄せていたはずの愛美が
やはり金本たちから逃れられずに、結果として佐々木を
陥れるようなことになるのもリアルだと思う。
真剣に仕事を探さずに生活保護受給を得ることに腐心する
輩もいれば、
本当に受給されないと生死に関わる人もいる。
これも真実なのだろう。
だから佐々木は普段からやるせないストレス過多状態
だったに違いない。
それゆえ、佐々木が愛美を情が寄っていき愛していくこと
になるのもわかるし、そんな佐々木を愛していく愛美も
わかる。
というリアルがありつつ、
ラストに向かう展開が次々とキャストが登場し、
オールキャストによるドタバタ戦闘になっていく様は
実に映画的であり、エンターテインメントだと感じた。
実際に観ていて体に力が入ったし、
全くオチが読めなかった。
鑑賞後感も悪くなく(良いとは言い切れない余韻あり)
キャストの演技が光った作品だと思う。
それにしても河合優実はこういうキャラ役が多いと思うが
全然異なるキャラを演じる彼女も観たい。
ずっと社会派、生活保護界隈の闇をじっくり描いてきたところ、急転直下登場人物全員入り乱れての乱闘、エンタメになる華麗なる転換は全くの予想外でした。
>河合優実はこういうキャラ役が多いと思うが
>全然異なるキャラを演じる彼女も観たい。
同感です。