「お目当ては河合優実だったけど、北村匠海も最高だった」悪い夏 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
お目当ては河合優実だったけど、北村匠海も最高だった
先日の発表された日本アカデミー賞をはじめ、キネマ旬報ベスト・テンや毎日映画コンクールなどなど、昨年の映画を対象にした映画賞で軒並み主演女優賞を獲得した河合優実が悪役として出演しているらしいということで、取るものも取りあえず観に行きました。
監督は、1月に観た「嗤う蟲」同様に城定秀夫監督作品で、前作では地方蔑視を煽っていた印象でしたが、本作では生活保護受給者とか公務員(ケースワーカー)蔑視を煽る話になっていて、その辺の作風は一致していた感がありました。そのため、前作同様に胸糞悪いストーリー展開だったというのが第一印象でしたが、市役所のケースワーカー役の北村匠海が、理想と現実の狭間で人格崩壊して行く過程の演技や、お目当ての河合優実がどん底でみせる微妙な心情変化の演技などは絶品でした。その他も窪田正孝の半グレぶり、竹原ピストルのクズ男ぶり、木南晴夏のどん底シンマぶりなど、それぞれがそれぞれの役どころを絶妙に演じていて、役者陣の活躍は満点でした。
映像的にも、エアコンのない夏場の蒸し暑さが上手く表現されていましたが、題名も「悪い夏」だし、いっそのこと蒸し暑い夏に公開して欲しかったかなとも感じました。
ストーリーとしては、最終的に勧善懲悪のプチハッピーエンドで、ちょっと意外な感がありましたが、まあこの辺りは原作通りということなんでしょう。「嗤う蟲」と比べると心情表現が素晴らしく、良い点も嫌な点も混在する作品ではありましたが、結構印象に残る作品でした。いずれにしても、今年も河合優実の時代は続きそうだと感じた一作でした。
そんな訳で、本作の評価は★3.4とします。
コメントする