「【今作は”生活保護は貰うべき人が貰いましょう。でないと、色々と大変な事に成っちゃうよ!ムービー”である。後半の一捻りある展開は流石、城定監督だと思った、チョイと沁みるブラックコメディな作品です。】」悪い夏 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は”生活保護は貰うべき人が貰いましょう。でないと、色々と大変な事に成っちゃうよ!ムービー”である。後半の一捻りある展開は流石、城定監督だと思った、チョイと沁みるブラックコメディな作品です。】
■ある市役所の生活福祉課に勤める佐々木(北村巧)は、同僚の高野(毎熊克哉)が生活保護受給者のシングルマザー愛美(河合優実)に肉体関係を迫っているらしいと同じく同僚の宮田(伊藤万理華)いう相談を受け、真相を確かめようとその女性の家を訪ねる。
その後、彼女のもとを訪ねるうちに彼女の娘への情が湧いた佐々木は愛美との交際に発展するが、それは裏社会の住人・金本(窪田正孝)と手下の山田(竹原ピストル)らが仕組んだわなだった。
真面目な公務員だった守の人生は転落の一途を辿る・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・予告編では、悪ばっかり出てくる作品などと宣伝されていたが、観賞するとそんなことはない。主人公の佐々木は気が小さいが、真面目な公務員だし、シングルマザーの愛美も、愛なき家で育ったようだが、悪ではない。
一番可愛そうなのは、トラックの運転手だった夫を亡くした、息子と二人暮らしの母、古川(木南晴夏)である。彼女こそ、生活保護適用者なのに、”国民の税金だから・・。”と頑張ってしまうのである。で、万引きしてパートを首になる。
・高野の事をトコトン調べる宮田を演じた伊藤万理華の、善人の振りをして後半明らかになる、”何だ!愛人への嫉妬かい!”の展開が、不謹慎だが大変に可笑しい。マア、ちょっと読めてたけどね。
・愛美を演じる河合優実さんは、【今、邦画女優で不幸な女性を演じさせたら、No1!】という冠を付けたくなるほど、今作でも不幸である。故に、彼女が自分のために娘と一緒に誕生日ケーキを作ってくれた佐々木に惹かれるのも、良く分かる。だが、金本はそんな彼女を利用して、第二の高木にしようとするのである。ここで、窪田正孝さんが、善人のイメージがあり過ぎて、ちょっと極悪に見えなかった所が残念かな、とちょっと思い掛けたのだが、この作品自体がブラックコメディの風合があるので(特に後半の展開ね。)マア、いいかと思ったな。
・で、佐々木は自棄になり、漸く生活保護申請に来た古川に対し、厳しい窓口対応をしてしまい、古川親子は練炭自殺(未遂)をしてしまうのである。
・その後の、愛美のアパートに揃った金本、山田、金本の愛人の太っちょ女、愛美の所にやって来た佐々木が包丁を振り回し、更に高野までやって来て包丁を振り回し、更に宮田が高野を追って室内に入って来るシーンは、最早ブラックコメディである。クスクス。
<そして、佐々木は片足を引きずりながらも、真面目に清掃員として働き、小さな傘が干してあるアパートに”ただいま。”と言って帰るラストシーン。
あれは、どうみても佐々木に懐いていた、愛美の娘の傘だよね!それに、町中で擦れ違った古川親子も元気そうだったしね。良かった、良かった。
悪い奴だけ捕まったことが、雑誌の記事に出ているのも宜しいね。
今作は、”生活保護は貰うべき人が貰いましょう。でないと、色々と大変な事に成っちゃうよ!という事を描いたちょっと沁みてブラックなムービー”なのである。>