「観ているものを元気づける映画だった」美食家ダリのレストラン 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
観ているものを元気づける映画だった
背景は、1974年、フランコ独裁政権末期のスペイン。
バルセロナから逃れてきたフレンチのシェフ、フェルナンドは、漸くたどり着いたレストランを一度は追い出されそうになるが、ダリを偏愛する「シュル・レアル(超現実)」のオーナー、ジュールズは、フェルナンドの作ったブイヤベースを一口、味わうやいなや、評価を一変させる。やがて、フェルナンドの作った料理は、海辺のレストランを訪れるバカンス客や口うるさい批評家たちを魅了するようになる。
この映画の本当の味付けは、ダリにまつわるストーリーもさることながら、第一に生命力に満ちたバルセロナに近いカダケスの海岸、その力強い岩と美しい海のコントラスト。それから、フェルナンドの作り出す独創的な料理の数々。きっと、プジョル監督がドキュメンタリーを撮影した伝説のレストラン「エル・ブジ」の影響を受けてのものだろう。その料理には、ダリも魅惑されたにちがいない。
実はスペインは、厳しい大地の上に立っているのだが、料理と酒を愛して、力強く生きる人々、それが見るものを元気づける源泉か。
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